娘さん家族と一緒に暮らしていた女性が、お孫さんも大きくなり手狭になったため母屋の横に離れ住宅を建てることになりました。
アンティークの家具やアートもお好きなお施主様とたくさんお話を重ね、出来上がった住まいは「現代版民家」と言えるすてきな住宅となりました。
大きな吹抜けを持つ真壁構造の住まいで、杉の柱梁には柿渋を3度塗り重ね、深みを出しました。
他にも漆塗りのカウンターや障子を多用したインテリアなど落ち着きのある空間となっています。
お庭を眺めるカウンター席にはぶどう柄のステンドグラスが嵌められ、そこから「FUSA(房)-HOUSE」と名付けました。
ぶどうの房はたくさんの実がなることから「子孫繁栄」の縁起物と言われます。
母から娘、孫たちへ新しい住まいが次の世代へバトンタッチされいつまでも愛される家になることを願っています。
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そんな住まいの竣工から早3年が経過した2024年の春。
お施主様から、お庭が完成したよ。とお誘いの連絡を頂きました。
ご親族の手によって作られたお庭は、とても素敵な設えで、家の姿もますますよく見え、とても嬉しいです。
新築の時から少し成長したFUSA-HOUSEの3年目の姿。
皆様にも少しおすそ分けさせて頂きます。
是非、ご家族の暮らしを覗かせて頂きましょう。
外のお庭には青々とした植栽と石敷きの平場が作られていました。
自然の素材が多くなればなるほど、木と塗り壁で出来た住まいが調和して素敵に見えました。
雨や風に晒されて育ってきた格子の網戸も、深い色合いとムラのある姿がかっこよかったです。
これもひとえに建具屋さんの綺麗な仕事のおかげです。
濡れ縁もより自然な風合いに変化しており、緑に囲まれたデッキで過ごすひと時を演出してくれそうだなと感じました。
木材などの自然素材は色が変化したり、欠けてきたりします。
そんな成長を愉しむためには、周りに自然の素材や生き物を集めてあげることが一つの楽しみ方の答えのように感じました。
決して高価なものでなくとも、家族で出かけた旅先で拾った石や貝殻。
植木鉢で育てているミニトマトやキュウリなんかも。
木と暮らすってことは、自然を楽しんで調和して暮らすことなのかもしれませんね。少なくとも、僕にはそう感じました!
室内からの景色もいくつか撮影させて頂きました。
柿渋を塗った真壁造りの柱梁と、日々足を滑らせている広葉樹の床板が見せる飴色がとても綺麗でした。
そこから見える庭の景色の良さは、改めて言うまでもないですね。最高でした。
本で埋め尽くされたワークカウンターからはお施主さんの暮らしの愉しみが垣間見え、なんだかうれしい気持ちになりました。
家は家族との暮らしを愉しむための器。そこから日々の楽しみがにじんでいることは作り手としてこの上なくうれしいことです。
もちろん、良い面ばかりではなくキズや補修が必要になる場面もありますし、
人の手仕事と自然素材がかけ合わさって出来るものなので、維持に手間がかかったり、トラブルが生じることもあります。
そこは、石牧建築のスタッフを中心に少しづつ手直しをさせて頂きながら、出来るだけ長く暮らしを愉しんでいただければ嬉しいです。
今回は、なかなか無い機会を頂き感謝しています。
これからも、皆様の暮らしが良きものでありますよう、お祈り申し上げます!
ASANO
築年数 | 3年(2021年6月 お引渡し) |
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工法規模 | 木造2階建て(木造軸組工法) |
敷地面積 | 641.77㎡ |
延床面積 | 114.36㎡ |
設計 | しましま設計室 |
石牧建築| ISHIMAKI KENCHIKU(@ishimaki_kenchiku) • Instagram写真と動画