構造のこと、素材のこと、性能のこと、設計のこと、それぞれに裏づけを伴うこだわりを持って家づくりをしていて、それらすべては、言い換えれば石牧建築の「強み」とも言えるものなのですが、ともすればマニアックな話になってしまいがちな内容を分かりやすくお伝えするにはどうすればいいのか?
専門的知識を持たない総務の私でも理解できる言葉選びや内容か、もっと言えば、建設業界に身を置いていないデザイン会社の方が理解できる説明が出来ているのか、誰にでも分かりやすく噛み砕いて説明するということは、学んで知識を身につける以上に難しいことのようです。
以前、大工スタッフが伝える力を身につけるための訓練にブログを書くことを始めた、ということを記事にしましたが、設計スタッフの2人もまた、伝え方について試行錯誤しながら学んでいます。
お客様からお問い合わせをいただき、石牧建築の家づくりのご説明や、ご要望をお聞きして考えたプランのプレゼンなど、いわば、石牧建築の最前線に立っている設計スタッフはどちらも40代。これまで、それぞれの専門分野においてキャリアを重ねてきました。サービス業や営業職に就いた経験のある者はいません。
西久保は石牧建築に入社する以前は関西を拠点に設計をしてきました。
以前島田市にある設計事務所の設計士さんにお話を伺う機会があり、その方から「“あの”西久保さんが石牧建築に入社すると聞いて、全国の設計士たちが騒ついたんだよ。石牧建築ってどんな会社?!ってね」と伺いました。
西久保はデザインばかりではなく、構造面にも強い信念を持っている優秀な設計士ですが、いわゆる我が強いということはなく、お客様にどうしたら寄り添えるのか、その中でお客様に対してどんなサプライズが出来るのか、を一生懸命に考えています。
また、佐原は長年現場監督として、表舞台に立つことはなかったけれど、コツコツと地道に裏方業務に徹してきました。私が苦手な「コツコツ」と細かな作業を積み重ねることが得意な佐原は、勉強も熱心で、前職に就いていたときは、自費でMOKスクールなどセミナーや勉強会にも参加し、今では石牧建築における性能のプロという立場を確立させました。
温熱計算を行い、お客様のお家のプランはこのくらい省エネですよ、というシミュレーションシートを作っているのは佐原です。
そんなそれぞれの分野で実績のある彼らでも、石牧建築に来てこれまでになかった「営業の壁」に直面し、ああすれば、こう言えば、と反省したり、改善のための努力をしたり、40歳を過ぎてなお新しい分野を勉強中です。
昨年10月に石津陽子先生をお招きして、ビジネスマナー研修を行ったというブログ記事を書きましたが、西久保、佐原の両名はより一層の思いで参加していました。
特に西久保はきちんとしないとという真面目さから、緊張で顔が強張ってしまうこともしばしばで、初対面では「淡々としてる」という感想をいただくこともあり、彼女自身も変わる努力をしていたところでした。また、西久保をよく知るスタッフたちは、本来のチャーミングなところがなかなか伝わらないのはもったいない、と思っていました。
佐原もまた、ラグビー日本代表のような風貌と、大柄ゆえのナチュラルな威圧感で、私も初対面のときは一歩引いてしまった記憶があります。
どちらも笑えばたちまちに親近感の持てる笑顔の持ち主ですが、とっさの笑顔に慣れておらず、笑顔を意識すればするほど顔が強張ってしまっていたのです。
石津先生から「車を運転する間、笑顔でいる練習をするのがおすすめ」と笑顔のアドバイスをいただき、一日に何度も鏡を見て笑顔の練習をしましょうね!と課題をいただきました。
そんなわけで、北寺島町の事務所には、お客様とお会いする前に身だしなみと笑顔のチェックが出来るよう、姿見が置いてあります。
伝えたいことは山ほどあるのです。
家は建つことがゴールではないから、暮らしやすい家、心地よい家に感じてもらうため、何を重視し、何を選んだらいいのか、コストと性能の費用対効果を考えた、この地で家を建てるベストな家づくりには確固たる自信を持っています。
あとはそれをどう伝えるか。
コロナの影響でリモートでの打ち合わせをする機会も増え、これまで以上に伝えるスキルが求められる世の中になってきました。
キャリアの後半に差しかかった40代チームの学びはまだまだ続きます。
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コラム筆者 | 総務 宮津