「造作(ぞうさく)」という言葉があります。
広辞苑には
〔ある家に付属して〕家を建てたり、部屋をつくったりすること。「はなれを造作する」《類義語》普請(フシン)。
家の内部の仕上げをすること。また、その仕上げ(にとりつける、たな・建具・たたみ・階段などの付属物)。内装。
とあります。
現代の家づくりにおいて使われる「造作」は後述の内部の仕上げを指すことが多いです。
私たちも内部造作で様々なものを作っています。
代表的なところではキッチンや洗面台でしょうか。
既製品のパーツを組み合わせつつ適材適所にオンリーワンのものづくりができるのが魅力です。
他にも家具の建具を作ったり、
板の木目を合わせた桧の収納扉。(上写真)
ダイニングテーブルやハンガーラックななどの家具も作成します。
住宅のパーツも既製品の物では味気ないな、物足りないな、と思えば手づくりします。
木製のスイッチプレートは現場で出る端材を利用して(下写真)
照明を吊り下げるバーも色違いの樹種を組み合わせて(下写真)
なんでもつくります。
「餅は餅屋」
という言葉があるように、
専門職に任せた方が良い場合も多く、
その時は協力してくださる職人さんにお任せするのですが、
それでも。
つくることも考えることも楽しく、
クリエイティブな脳を働かせ、みんないつも楽しんで取り組んでいます。
階段手摺(上写真)
目を引くところではない細かな所ほど、もしかしたら一生懸命考えているかもしれません。
「手」で作っているので、
機能性や手触りに違和感があると
「あ、やだな」という感覚もあるのだと思います。
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ところで、冒頭の広辞苑での件。
「ぞうさく」のひとつ手前には
「造作(ぞうさ)ない」ということばが載っていました。
手数や努力がいらない。面倒でない。たやすい。
といった意味です。
この言葉にわたしは目が留まり、
改めてその意味を考えてみました。
そして、大工が造作で内部の仕上げをつくるというのは、
「手間を掛ける」という事なんだなと思いました。
【職人は手間を売ってその報酬を頂いている。だから手間を省くことばかりしていたら売り物が無くなる】
石牧が言っていた言葉です。
丁寧に、その家に住む住まい手の事を思って仕上げる造作。
石牧建築の家に住む方には是非、造作部に込められた大工たちの気持ちを感じてもらえたら嬉しいです。
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コラム筆者 | 設計 西久保