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“大切につくられたもの”に囲まれて ~家具も家の一部~

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“大切につくられたもの”に囲まれて ~家具も家の一部~
石牧建築のオフィスにはたくさんの椅子があります。家具職人が座り心地を意識して作り上げた椅子や、半世紀以上に渡りロングセラーの椅子など、メーカーも座り心地もそれぞれ。
今回は暮らしに欠かせない、それら“椅子”のご紹介です。

この事務所がオープンしてすぐ、私たちが向かった先は家具屋さんでした。
社長が「これから長い時間座る椅子だから、それぞれ気に入った椅子を選んで座ろう」と言うので、それぞれのお気に入りを探すため出かけたのです。
ですから、このオフィスには脚にキャスターのついたいわゆるオフィスチェアはありません。
素材や座り心地を確かめて購入したお気に入りの椅子ばかりです。


オフィスに入ってすぐ、目を惹くのは心石工芸のチャンクです。
高さを抑えたダイニングチェアで、すっきりとした印象です。
張り地は植物性タンニン鞣しのヌメ皮をベースにオイルをたっぷり染みこませたオイルレザー(KW)で、色は明るめのマロンにしました。なめらかな肌触りの皮は使いこむほどに艶がでて、その色の変化も楽しめます。
メンテナンスは年に1~2回、メンテナンスオイルを柔らかい布で薄―く塗布して馴染ませるだけ。しっとりとキレイになるのが気持ちいいです。こうして適度な油分を加えることで、皮の傷み具合が軽減され、耐久性が向上するそうです。


チャンクの奥、少し高くなった部屋にあるのが、心石工芸のピアーナです。
この大きなカウチソファは座面の奥行きが広く、男性でもゴロリと横になれるサイズです。
女性の方やお子さんでしたら、ソファの上に足をあげてくつろぐのがピッタリ。

心石工芸さんは、広島県のソファメーカーです。
ひとつひとつ、職人さんが手作りで仕上げていきます。このピアーナもウレタンの固さやシェイプなど、細かなところまで繊細につくられています。
たとえば、座ったときに膝の裏があたる部分。一般的なソファと違い、あえて固いウレタンを入れることによって、浅く腰掛けても沈まないような工夫がされています。
この説明をすると、ソファに浅く腰掛けることが多い女性の方は、「あぁ、わかる、わかる~」と納得していただけます。
かくゆう私もそのひとりで、私の重みをしっかり支えてもらって、大変座り心地がいいソファです。



2階の各デスクには2種類の椅子があります。
ひとつは飛騨産業のSEOTO-EXアームチェアです。川上元美デザインのこの椅子は、腰から背中にかけて、しっかりと柔らかく支えてくれるので、長時間の座り仕事の負担を軽減してくれています。
もちろん、ダイニングチェアとしてもピッタリで、こちらの椅子は是非深く腰掛けていただきたいと思います。

心石工芸さんのソファ「ピアーナ」と飛騨産業さんのSEOTO-EXアームチェアは「遠州匠の家プロジェクト」として、遠州綿紬をアクセントに使ったものもあります。
石牧建築のオフィスには2種類の張り地のSEOTO-EXがあるので、座り比べてみるのも面白いでしょう。私の感想としては、遠州匠の家プロジェクトの椅子の方が少し柔らかい印象があるのですが、皆さんはどんな感想をお持ちになるでしょうか。


デスクの椅子として使っている、もう1種類の椅子は木馬舎のキャップチェアです。
飛騨産業さんと同じ飛騨高山の家具メーカーで、THE 職人!なメーカーさんとのこと。
背板と後脚に曲げ木の技術を使用しているため、背中へのあたりが優しく、座面もそれ程大きくないので体にフィットし、座り心地がいいので選びました。また座面が木ということで、しっかり腰が立つためでしょうか、こちらも長時間座っていても疲れません。
座面が太ももに沿うように程よくカーブがついているので、太ももが圧迫される感じもなく、シンプルながらよくよく計算されて作られているのだな、と感じます。

このキャップチェアには専用の“座クッション“があり、それぞれ座るスタッフが好きな生地を選んで作ってもらいました。この座クッションも薄いのにとても座り心地がいいので、他の椅子にも乗せて使用しています。
木馬舎さんにはほかに1階のミーティングテーブルも作っていただきました。


こちらは天童木工の、その名もチェア。
バタフライチェアやリオオリンピックの卓球台を製作したことでも有名な天童木工さんは、成形合板の曲げが特長で、このチェアにもその技術は使われています。
背板と座板の流れるようなシェイプは、体のどこにもストレスを与えません。シンプルな構造ながら、さすが半世紀以上に渡り多くの人に愛されている一脚だな、と感心させられます。
石牧建築のオフィスにある椅子の中では一番軽量で、オフィスの中をあちこち移動しながら便利に使っています。
同じデザイナーによるテーブルもあり、ダイニングセットで使うのもおすすめです。

石牧建築も大工の手しごとで住宅をつくりあげていきます。
よく「精魂をこめて」などと表現する職人さんもいますが、家具や器など、人の手によって大切につくられたものにはエネルギーが宿るように感じるのです。
だから、私は職人づくりのものが好きです。
“もの”の力というのでしょうか、自分には少し高価かな?と感じるものでも、日々接していると、それに見合う自分へと高めてくれるような気がします。
そして、大切につくられたものは、たいてい丈夫で長持ちだし、少し勇気を出して買ったものは大事に扱い、愛着もわくのでメンテナンスしても長く使いたいと思えます。
つくりのいい、大切につくられたものを、作り手に感謝して大切に使うということは、実は意外と経済的でエコな生活にも繋がっているのです。

石牧建築のオフィスには、ここに挙げた椅子のほかにも座り心地のいい椅子がいくつかあるので、ご興味のある方は是非座り心地を試しにいらしください。お気に入りの一脚が見つかるかもしれませんよ。

 

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コラム筆者 | 総務 宮津