Javascriptが無効になっているため、正常に表示できない場合があります。

お知らせ

TOPICS & EVENT

ばいせん

2023/01/19

ばいせん [遠州に暮らす:手刻み大工と設計部の日常]

新春と言ってもまた一段と寒くなってきました。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

僕の最近のブームは焙煎と媒染です。

焙煎と言えば珈琲の生豆を加熱して炒る事ですが
そんな焙煎を自分で手軽に体験できる店があるのを
思い出してそのお店に足を運びました。

店員さんから色々教えて貰いながら
豆の色や香りが次第に変化していくのを
楽しむ事ができました。

同じ豆でも煎り方変えるだけで別物になるのは
とても興味深いです。

焙煎したばかりの豆は炭酸ガスを放出させて
豆を落ち着かせると言いますが
焙煎させた当日、家に帰ってすぐ淹れてみて
その香りの強さに驚きました。

焙煎の方法は色々あるみたいでやってみたい。
観賞用ですがコーヒーノキも育ててます。

お次の媒染。

媒染と言えば布などを染めた時に
染め色を繊維に定着させる事を言いますが
木材も媒染できる事を皆さんはご存知ですか?

媒染液を使って木材の中に含まれる
タンニンという成分と反応して発色させます。

仕事上でも、材種問わず木材と他素材が触れて
発色しているところを目にします。
意図せず起きたこの発色は厄介ですが
石灰水(アルカリ性を含まない)を浸透させると
発色したところが元に戻ったりします。


媒染液を木材にも浸透させると黒い色に発色します。
個々の木材が持ってるタンニンの量や
媒染液の配合を変えていくと
青色、茶色等に染める事ができます。

木材其の物が持った力を借りて塗装とはまた違う
媒染ででた色味は上品にも感じます。

写真は媒染させたトレイや名栗の板
自分で焙煎したコーヒーと道具達
飼っているヒョウモントカゲ
コーヒーノキ、少し見えるアコギ
家の片隅の趣味スペースです。

どちらの『ばいせん』も
マイペースに追求していきたいです。

goda

お腹いっぱいの休日

2022/12/10

お腹いっぱいの休日 [遠州に暮らす:手刻み大工と設計部の日常]

こんにちは
大工の君澤です

先日フジイチできこりとして働いているお友達に誘われ、専務さん含め3人で山へ行き
枝打ち
と言われる作業をしてきました。

 

安全帯を付け、専用のハシゴと鋸を使い枝を切っていきました。

隣で作業していた友達は慣れた動作で
生えている細い枝に次々と足を掛けていき
懐かしの遊具の登り棒を思い出させるかのように
スルスルと上まで登っていきます。

まるで猿のよう笑

この枝打ちは、真っ直ぐ伸びた節のない綺麗な材を出す為にとても大事な作業です。
今回はヒノキを主に枝打ちしたのですが、
杉材になるとより節なしの材にするのが難しいのだとか。

 

今まで誰かが手を加えて手入れをしてくれた過去があってこその今の材料であり
こうしてこれから先何十年後も手入れをする人がいなければ綺麗な材はないんだよなと。

そう考えると
化粧材として節のない大きい杉材はもちろんのこと
綺麗な材料を普段から使わせていただけていることが
本当にありがたいな
と改めて思いました。

 

作業終了後は 
急遽専務さんのお家におじゃまして
ご飯をいただく事に。

外観の大きな丸太の捻組から伝わってはいたのですが中へ入ると木をふんだんに使った数寄屋の様なお家。

長押や建具など贅沢に柾目の材を使っていて
木舞天井や、船底天井、羽重ねの竿縁天井
障子も雪見障子で、ここもあそこもと
ずうずうしくも見とれていたら最終的にほぼ全部の部屋を見せてくれました笑 

ありがとうございます

 

そして座るや否や、専務さんのお母様手作りの
美味しいごちそうをたくさんいただき
暖かい空間に包まれ、たくさん笑い気付けば21時。
色んな意味でお腹いっぱいの一日となりました。

 

 

こうして材木屋さんとつながり
お互いの仕事の交流が出来ることは
とても素敵だな〜面白いな〜と。

これからも色んな景色を見れたらいいなと思います。

 

 

Kimizawa

 

 

 

 

 

 

いつまでもこれからも

2022/11/29

いつまでもこれからも [遠州に暮らす:手刻み大工と設計部の日常]

朝晩は気温が下がり、日が短くなり、今年も残すところあと1ヶ月となりました。
毎年、一年はあっという間だなと、この時期になると誰かしらに話しています。
先日休みをもらい実家に帰省しました。実家は築40年近くなり、色々な箇所に不具合が出始めてメンテナンスが必要になっています。両親は40年近く経った今でも綺麗に大事に家に愛着を持って暮らしています。
実家を建てた大工さんをはじめ、家に携わった人達はこのことを知ればとても嬉しいと思います。その時の流行りだったり、1番良いものを取り入れ、時代にあったものを作ることはとても大事なことです。それと同時に、何年経っても、どの時代でも格好良いもの、誰が見ても凄いと思えたり、飽きない愛着が湧くものを作ることが大事だと思いました。
両親がこれからも不自由なく暮らせるように、そしてこれからもっと好きな家なるように僕に出来ることは
やっていきたいです。           渡邊

茶会

2022/11/04

茶会 [遠州に暮らす:手刻み大工と設計部の日常]

森の工房ilboscoへ向かう道中の野山や
紅葉が日に日に鮮やかになってきました。

先日、人生初の茶会に行ってきました。
茶会といっても茶道の茶会です。

学生の頃、授業に茶道がありました。
当時の僕にとって茶道の作法や茶を点てて
茶菓子をいただく時間は特別なものでした。

茶道の先生から扇子をいただき
いつか機会があればと今日まで仕舞っていました。

ようやく出番がきました。

母が通っている茶道教室の先生からお招きいただき
浜松の茶室松韻邸亭の中にある
萩庵と言う茶室で開かれる茶会に行って来ました。

茶会当日、慣れないスーツに着替えて
いただいた扇子を持って開場へ向かいました。

茶室には躙口と言う小さい出入り口があります。
千利休が考えた「茶室では皆平等」と言う意味が
込められた
この躙口の入り方にも作法があります。

まず扇子を行く先に置き両手を畳に添え茶室内を伺います。手を握った状態で両手を畳に置き正座しながら内に入ります。扇子を進めて同じ様に前に進みます…(以下略)

亭主に挨拶し床の間を拝見した後席に着き、
お茶を点てている間、先生から挨拶と
床の間のしつらえ物の紹介をしてくれました。

茶碗や茶杓などの茶道具から
その他の工芸品に触れることが出来ました。
浜松にある根上がり松で作った香合が印象的でした。

茶室内部の天井は
客座は垂木竹の掛込み天井と網代天井。
手前座は竹天井。
場所に合わせて素材を変えていました。

香節の床柱に名栗の床框、
水屋も見させて貰いました。
納め方や素材の魅せ方勉強になりました。

茶道は美しくてとても奥が深いです。
次回の茶会もお誘いいただいたので
茶の湯を通して色んな人や物に触れていきたいと思います。

goda

桜軸の家

2022/11/02

桜軸の家 [委託投稿ページ]

「石牧さんの家を建ててほしい」。そうリクエストいただいて現地にお伺いしたとき豊かな自然を最大限に生かし、庭の桜の木をシンボルにしようと思いました。本当にお任せという真っ新な状態で家づくりをさせていただくことは、あまり機会がないこと。思い切り石牧建築らしい、私たちがご提案したい家を設計させていただいた、とても印象深い家です。
設計図をご覧いただいた際、「この家のネーミングは?」とキラキラしたした期待の目を向けられ、お時間をいただいて付けた名前が「桜軸のいえ」でした。桜の方向に軸を取り、その軸に対して直角に床板を張ることで目線が桜に向くように。桜を中心に空間が広がり、家族の幸せが広がるようにと願って。

石牧建築の家を気に入り、お任せで家を建てた鈴木様に家づくりのエピソードや暮らしの楽しさをうかがいました。


石牧建築 しましま設計室 一級建築士 西久保 美和

家を建てようと思ったきっかけは何でしたか?

ご主人
妻に「おいしいコーヒー屋さんがイベントに出店するから行かない?」と誘われて行ったのが、石牧建築さんの現場見学会だったんです(笑)。僕はその時、家を新築する気は全然なくて、ホントに家族でお出掛け気分でした。でも現地に行ってみたら、木をふんだんに使っていて、梁が見えたり漆塗りだったり、2つとない家だというのが随所に感じられました。良いな、こういう家に住みたいな、という気持ちが湧いてきました。そこからちょっと話を聞こうかという話になり、ローンのこともいろいろアドバイスやご提案をいただいて、家づくりが急に現実味を帯びてきたんです。そして、年齢的にも今しかない!と(笑)。
奥さま
私は、結婚したら自分たちの家がほしいとずっと思っていたので、その気になったらいいなーという下心があって誘ったんですけど、期待以上にその気になってしまって。ほとんど衝動買い(笑)。初めての見学会は『漆梁の家』ですごく良かったんですけど、次に見に行った『星乃家』もすてきでした。
ご主人
石牧建築さんの家を見て、ホームページを拝見させていただいて、マイホームの概念が変わりました。それまでは、目に入ってくる情報として、いろんなところが注文住宅とかうたっているけど、どうせABCの中から選択するくらいでしょ、似たかよったかじゃないの?と思っていました。それに、一番のPRポイントが地震に強いって、そんなの当たり前じゃないの?って。だから全く響かなかったんですよね。
奥さま
そうそう。地震に強いって、それって常識じゃないの?と。当たり前についてくるものだと思っていたから、私たちにとってはPRポイントにはなっていなかったよね。
ご主人
確かに。でもそういう素人の考えをしっかり受け止めてくれてるなと思ったのも、石牧建築さん。石牧建築さんで家を建てたいと思ってから、会社の考えとかを知りたいと思って、ウェブサイトとブログを隅々まで読み込みました。その中で一番心に響いたのは、社長さんのブログ。耐震性とか気密性とか、石牧建築さんの一番のPRポイントは機能性ではないのに、そこをしっかり説明していた。素人では分からないことも分かりやすく説明していたし、知識の深さもうかがい知れるものだったので、とても信用できたんです。デザイン性がすばらしくて、機能性もしっかりあって、おまけに大工仕事ってところも、僕としては非常に好感が持てました。

どのように家づくりが進んだのですか?

西久保
設計を始める前に、『おうちノート』というヒアリングシートのようなものがあって、住みたい家のイメージや、どんな暮らしがしたいか、どんなお部屋や間取りが欲しいかなど記入していただくんですが、鈴木様はびっくりするほど少なかったんです。大抵のお客さまはびっしりノートいっぱいに書かれるんですけど、鈴木様は外観や全体のイメージのご希望は書かれていなくて、猫の部屋、食洗機、ウッドデッキとか超ピンポイント。本当に最低限欲しいものだけを書かれているなという印象で、いつもと違うぞと、逆に戸惑ったことを覚えています。
奥さま
石牧建築さんの家を見に行ったら感じが良かったから、こういう家がいいなーとしか思わなかったですし、こういう家を建ててくれると信じていました(笑)。
ご主人
自分たちは、当たり前だけど家に関して素人。石牧建築さんの家を見て「これが良い」と思ったので、「石牧さんの家を建ててください」と。それが一番の希望でした。どんな提案をしてくれるのか、とてもワクワクしました。
西久保
ある意味プレッシャーでしたが、そういうオファーをいただけたことが本当にうれしかったですし、腕が鳴りました。実は内心「やった!」とガッツポーズしてました(笑)。石牧建築の良さを存分に詰め込んで、さらに私が好きなテイストをスパイスにした家を建てられるなんて、こんなチャンス2度とないかもしれないと。私もワクワクして楽しかったです。
奥さま
設計図を見ても、「良い!すてき!」としか感想がなかったです。唯一の変更は、キッチンの向きを窓側ではなくリビング側に、庭に向くように変えてもらったことでした。
西久保
石牧建築の家を本当に気に入ってくださったんだなと、うれしさが募りました。でも納戸としてご提案したつもりだった部屋が、お二人の中では最初から「猫の部屋」として認識されて話が進んでいったのは、楽しい誤算でした。私的には、猫も快適に住める家というイメージで、単独で猫の部屋を作ることは想定していなかったんですけど、うれしそうなお二人を見て「それは納戸です」とは言えず、今初めて言いました(笑)。

この家のポイントは、なんと言っても桜を中心としたところでしたね。

西久保
初めてこちらに伺ったとき、桜の木がとても印象的で、これをシンボルにした家という方向でイメージが膨らみました。家全体の造りや雰囲気はシンプルに仕上げ、ひとさじアクセントとして桜に向かって床板を斜めに張りました。桜の木へ目線が向くようになり、また部屋自体の視覚的拡がりも生まれます。私がこの家の設計でこだわったことのひとつです。大工さんにも「ここの出来栄えで、この家のすべてが決まる」と伝えました。
奥さま
どおりで!大工さんが時間をかけていたわけが今分かりました。実は毎日のように家づくりの現場を見に来ていたんですけど、床板をはめるとなったとき、最初に取りかかった角の数枚に、大工さんがすごく丁寧に時間をかけていたんですよ。「大変そうだなー」「あ、床板斜めなんだー」と思って見ていたんですけど、西久保さんからのプレッシャーがあったんですね(笑)。
西久保
手間がかかるのは分かっていましたが、本当にこの家の肝になる部分だったので、家づくりの想いをしっかり共有したいと思ったんです。
ご主人
斜めの床板とか、そういうアクセントの付け方の概念は素人にはないもので、まさにプロの仕事、こだわりを見せてくれた!という感じで感動しました。それに住み始めてみて、本当に桜の方へ意識が向くことに再び感動。僕たちにとっては当たり前だった景色が、桜を中心にした家を建ててくださったことで、特別な景色になったと思います。
奥さま
親族の家族もみんな集まって、お弁当作って、ウッドデッキでお花見もしたしね。それだけでも石牧建築さんに家を建ててもらって良かったって思えます。

実際に暮らしてみて、住み心地はいかがですか?

ご主人
本当に住みやすいと日々感じています。おしゃれだけど、いや、おしゃれだからこそ、すべて計算し尽くされていて、無駄がない。こういうのを機能美って言うんでしょうね。豪邸という言葉の概念も変わりました。今までは豪邸は贅沢な広さの豪華な家だと思っていましたけど、石牧建築さんの家に住んでみて、住みやすくて生活が楽しい家こそが豪邸と呼ぶにふさわしいと。普段の生活の中にある心の贅沢を感じられるかどうかって、大事だと思うんです。あとは、妻が毎日すごく楽しそうに暮らしていること(笑)。そこが僕の何より一番の満足ポイントです。
奥さま
周りの環境を最大限に生かしていて、自然に溶け込んでるところも私は好きです。
西久保
この環境、なかなかないなと思って生かしたいと思いました。最初に来たときは、正直「すごい所に来ちゃったな」と思いましたし、出会う虫たちがことごとく見たことのない大きなサイズだったのも、驚きましたけど。
奥さま
それ、私も思いました。私の生家は海の近くで結構な田舎だったのですけど、真逆の山奥の田舎に来たなと。驚くこともありましたけど、すっごく静かでこっちの環境の方が好です。ただ、初夏のカエルの大合唱だけは驚きを超えて衝撃的でしたね。でもあるとき、学者さんがわざわざカエルの声を録りにくるくらい貴重な場所だということを知って、ここにしかない特別な音楽なんだと思うようになりました(笑)。
西久保
こんなに自然に囲まれていて、景色も風も心地良いし、沢も近くにあって空気も何だか清らかだし、本当に良いところですよね。石牧建築の木の家にぴったりの場所だと思いました。

石牧建築は天竜杉など地元産の木を使っているのですよね。

西久保
そこが私たちの強みです。
ご主人
僕が家を建てたいと思ったきっかけを作ってくれたのは、石牧建築さんのこだわりが見える木の家との出会い。木をふんだんに使ってもらいたくて、作り付けの家具も家と同じ木を使って作ってもらえるよう、オーダーしました。
西久保
床をはじめとした家の素材や、テーブルなどの家具類は天竜杉。キッチンのカウンターは天竜産の山桜です。家具は「わざわ座」という家具デザイナー・小泉誠さんと大工さんのコラボ作品です。
ご主人
大工仕事とデザイナーというおしゃれ感と、すぐ隣の天竜で育った地元の木を使っているというこだわりも、非常に惹かれました。それから、西久保さんが設計士にもかかわらず、現場によく足を運んでくれることとか、墨付けを自らしてくれたことなどは特に感動しました。僕たちの家をつくるために、今までやったことがない大工仕事にチャレンジしてくれた。そのことがすごくうれしかったです。
西久保
そう感じていただけていたなら、私もとてもうれしいです。墨付けは本来、熟練した大工の技が必要な作業。大工のプライドのかかった仕事と言っても過言でありません。そんな大役を任せていただくことになり、鈴木様からの信頼の厚さに感動しつつも、これまでにないプレッシャーも感じました。しかし、お任せいただいたからにはやり切ろうと思いました。さすがに手刻みはできませんけど、石牧建築の仲間から身をもって大工仕事を学んでこいと背中を押され、大工さんに弟子入り状態で教えてもらうことになりました。春野の加工所に通って墨付けをした日々は、とても大変でしたが充実していて、とても良い経験ができました。そんな機会をくださったお二人に感謝しています。

この家のお気に入りポイントはどこですか?

ご主人
すべてです(笑)。さっきも言いましたけど、生活していて無駄な場所がないこと、そして奥さんが笑顔でいてくれること。全部が気に入っています。
奥さま
私はキッチン。特に壁面の一部に使ってあるグレーがかかった微妙な色合いのベージュのタイルがすごくいいなって。あとは、リビングに立って桜の木方向を向いて見上げたときの、障子と梁の感じがとても好きです。木のぬくもりが感じられるむき出しの梁はもちろんですが、上の窓に障子というチョイスがおしゃれだなって。
ご主人
そういうピンポイントなら、あります。漆塗りのトイレの床。床でも家具でもどこでもいいから、どこかに漆を塗ってかっこよくしてほしいとリクエストしたんです。それで、その場所は家ができるまでのサプライズにしてくださいとも。
西久保
トイレの床や、洗面カウンター、キッチンの側板など。あと、テーブルの裏の梁(たわみの止め)にも施しました。
ご主人
家ができたとき、宝探しみたいですごく楽しかったです。
奥さま
玄関も私は好き。木の外観なのに玄関だけコンクリートでモダン。ちょっと隠れ家みたいな雰囲気がかわいい。
西久保
ちょっと離れのような立ち位置にあるので、大きな玄関ではなく母屋の勝手口というイメージで、小さめに、そしてアクセントとしてモルタルの玄関にしました。私もここ、お気に入りの一つです。
ご主人
外観と言えば、このボコボコした押縁のデザインもおしゃれ。こういうの見たことがなくて、他にないなと。自慢の一つです。あと、表札の字は、西久保さんが書いてプレゼントしてくれたんですよね。最後の仕上げ、みたいな感じでうれしかったです。ありがとうございました。

最後にこれから家を建てたいと思っている皆さんにアドバイスを。

ご主人
一生物なのでこだわった家にした方が良いと思います。僕らも妥協して後悔したくないと思いました。石牧建築さんというすばらしい出会いがあって、お任せ状態で建てた家ですが、妥協したところはありません。この出会いが妥協するところがないという状況を生んでくれたと思うので、すごく恵まれているんじゃないかと思いますが、家を建てる会社を選ぶところで妥協しないことが一番かなと思います。
奥さま
良いなと思った家をつくっている会社と、建てる人との出会いは特に大切だなと思います。西久保さんに家づくりをお任せして、本当に感謝しています。暮らしていて、本当に困ることとか、こうすれば良かったと思うところがないんです。だから家を建てるときも、人との出会いは大切にしてほしいかなと思います。

価値観を変える木の家

2022/11/02

価値観を変える木の家 [委託投稿ページ]

石牧建築と出会い 木の魅力に惹かれていく

まだ所々に田畑が残る住宅街の一角。見事な大屋根の木の家が、今回訪問するK邸です。大規模既存集落制度を利用して、昨年の7月に新居が完成。独特の削り跡が印象的な日本古来の伝統技術、なぐり加工を施した玄関扉を開け中に入ると、勾配天井に吹き抜けが広がる開放的なLDKが出迎えてくれます。木がふんだんに使われた空間は、まるで森の中にいるような居心地のよさを感じます。

まず目をひくのが、8寸(24cm)もある黒色の大黒柱と、赤色に塗られた8角形の柱。生漆(きうるし)に黒と赤の顔料を混ぜ、塗りと拭き取りを何度も繰り返して仕上げたそう。さも、木の家にこだわったように見えるK邸ですが、「無垢材って言葉を知ったのも、工務店探しをしているときなんですよ」と笑いながら答えるKさん。

実家と同じように大手ハウスメーカーで家づくりを始めるもうまくいかず、幾つもの工務店を研究。「雑誌などで徹底的に調べたから、家を見ただけでどの工務店か分かるようになったんですよ」と、いたずらっぽくツッコミを入れる奥さま。先日紹介した「遠州匠の家」のKさんが会社の後輩ということもあり、石牧建築にたどり着きました。

「石牧建築代表の石牧真志さんと最初にお会いしたとき、家のことはほとんど話さなくて、山のこと、天竜杉のこと、手刻みにこだわっていることなど、木についての話が2時間ほど続いて(笑)。印象的だったのが、一般的な工務店は、白くてきれいな優等生の木だけを使うけれど、石牧建築は劣等生の木も使うという話でした」

「石牧建築では、他社では使いにくいといわれる山の下に生えている黒い木も扱います。手刻みにこだわり、木目の見え方、節の量、木のクセなどを一本一本確認しているからこそ、商業的な面で見ると劣等生といわれる木があっても、適材適所で使い分けるとことができるんです」と、K邸を担当した佐原広祐さんが説明してくれました。


それから木のことをいろいろと調べ始めたKさん。調湿、消臭、抗菌、防ダニ、肌触り、経年変化など、新建材にはない木の魅力にどんどんひかれていきます。「この2つの木を持ってみてください」と、取り出した木片を取材班に手渡します。「あ、重さが全然ちがいますね。この黒い方がずしんと重さがあるというか」と取材班。「この黒い木は桜で、軽いのが杉。樹種によってこれだけちがいがあるんですよ。香りもちがうので、かいでみてください」と楽しそうに説明してくれます。

「LDKの床を見て何か気付きませんか」と、次はクイズが始まりました。何度か往復して、「あ、節の数がちがう!」。何も言わず笑顔になるKさん。床はヒノキの無垢材を使用。キッチン側は節が多いけれど、お客さんも過ごすリビング側の床はほぼ無節。「仕上がりを考え、一枚一枚、節の量を確認して貼ってくれているんです。そういうのって、うれしくないですか」とKさん。

「なんだか、石牧建築さんの営業マンみたいでしょ」と笑う奥さま。「植林の下草刈りにも参加したいって言うくらい、この家を建ててから木が好きになったんですよ」。玄関横の壁には、無理を言ってもらったという石牧建築のポロシャツが飾られていました。


ものを選ぶ基準が 毎日の暮らしを彩る

ここ数年は家を建てることが目標だったKさん。新居が完成し、今はこれといった趣味がないそうで、休日はホームセンターに行ったり、子どもと一緒に遊んだりすることが多いと言います。長男のタクトくんが生まれ、奥さまが育児で大変ということもあり、娘さんとふたりで遊ぶ機会が増えました。ウッドデッキがあるので、ピクニック感覚でお弁当やおやつを食べたり、庭で泥遊びをしたり。どれも以前のアパート暮らしではできなかったことばかりです。

庭の一角には、最近始めたという家庭菜園が作られ、ナスやトマト、ハーブ、ミカンなどが植えられています。すると長女のリオちゃんがやってきて、「こっち、こっち」と、玄関へ案内してくれます。玄関横にはブルーベリーが植えられ、小さな実を見つけることができます。「子どもも水やりを楽しんでいるので、大きく育つのが楽しみですね」。趣味はないと言うKさんですが、家ができ、お子さんと一緒に暮らしを楽しむその時間が、何よりの趣味なのかもしれないなと感じました。

石牧建築に造作してもらった食器棚や本棚、遠州面紬をあしらった建具、地元作家による洗面鉢など、家の中にはストーリーのあるものを見つけることができます。「木の空間が映えるように、既製品はあまり買わなくなりましたね。価値観が変わったというと大げさですが、ものを選ぶことに意識的になった気がします。先日も作家さんが作ったコーヒーカップを買ったのですが、以前だったらきっと買ってなかったと思いますよ(笑)」

木の家だとキズが心配じゃないですか、とたずねると、「最初は気にしていましたが、一度キズを付けると、もう気にならなくなって」と笑うおふたり。キズは味わいになるし、年月がたって色が変わっていくのも、木ならではの魅力だと思えるようになったと言います。「石牧さんは、手垢や脂、子どもが裸足で走り回って木が黒くなっていくのがいいんだよねと言うんですが、さすがにそれは理解できなくて(笑)。まだ修行が足りないんですかね」と笑うKさん。



「木の家ってもっと和風なイメージがあったから、ここまで快適で、おしゃれな家になるとは思ってもみなかったです。ママ友からもすてきだねとほめられてうれしいです」と家づくりを振り返る奥さま。「僕たち素人は、家を建てるとなったらとりあえずハウスメーカーの展示場へ行く。木の家に関する知識も、出会いの場も少ないんです。工務店やメディアは、木の家の魅力をもっと伝えた方がいいですよ」とKさんが続きます。つられて「すみません」と謝る佐原さんのひと言に、みんなが笑いに包まれます。手に入れたのは木の家だけでなく、ずっと良好な関係を築ける工務店だったのだと感じた瞬間でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

 

家族の思い出を刻む家

2022/11/02

家族の思い出を刻む家 [委託投稿ページ]

3年が過ぎ、ひとまわり成長した家族と家

浜北区にある新興住宅地。さまざまなカタチの家が建ち並ぶ中、木の塀と大きく育った木々に包まれた家が見えてきました。


エントランスを抜け、玄関を開けると、「こんにちは」と、子どもたちが元気よく出迎えてくれます。天竜の杉やヒノキをふんだんに使った床や天井、丁寧に仕上げられた漆喰の白い壁が、やさしく落ち着いた空間を作り出していて、温和なKさん夫妻にぴったりだなと感じました。

東京都出身のご主人と、新潟県出身の奥さま。お互いの故郷から遠く離れたこの浜松に家を建てたのは3年前のこと。新築当時はほっそりとした木々も太さを増し、大きく枝葉を伸ばしています。
昨年の冬には3人目のお子さんが誕生。新築の打ち合わせの頃、トーマスが好きだったユウスケくんは、今では「スター・ウォーズ」に夢中。泣き虫だったサキちゃんは、赤ちゃんのお世話をかってでるお姉ちゃんに成長。子どもの成長が3年という歳月の長さを教えてくれます。


「3年暮らしてみて、失敗したなぁと思うことはありませんね。今、石牧建築さんに収納棚をオーダーしています。家族が増えたということもありますが、まずは住んでみて、必要だなというタイミングで作りたかったんです」とKさん。
リビング階段を中心に回遊できる間取りのK邸。小学校や幼稚園から帰ってきた子どもたちは、玄関から洗面所へ向かい、手を洗ったあと、そのままLDKへ。
「だから、洗面所のそばにランドセルや荷物などを置ける棚があると便利だなと思い、オーダーすることを決めました」。

LDKには石牧建築が造作した、遠州織物をあしらったテレビボードやカウンターテーブルがあります。
「とっても便利なんですけど、あとから収納ボックスを使おうと思ったら、空いている壁がなくて、置くことができなかったんです(笑)。最初から作り込みすぎないのも大事ですね」と笑う奥さま。


天竜杉を使った床は暖かで足触りもよく、子どもたちは一年中はだしで遊んでいるそう。冬でもひんやりしないから、奥さまもスリッパをはかなくなりました。特に木の家が心地よいと感じるのは、梅雨時だと言います。
「以前、住んでいたアパートは湿気がひどくて。この家は床も天井も木だし、柱が見える真壁造り。仕上げに使った漆喰のおかげもあって、じめじめせず、いつもさらさらしています」とKさん。
同席していた石牧建築代表の石牧真志さんが、「断熱材に使ったセルロースファイバーも調湿効果があるので、それも影響していると思いますよ」と補足してくれました。

勾配天井でこもり感のある寝室は快適で、寝苦しさを感じたことはないと話します。
「子どもを寝かしつけると一緒に寝ちゃうことも少なくないですよ」。
新規開発プロジェクトのリーダーを任せられ、やりがいとプレッシャーの間で忙しい毎日を送るKさん。土日も仕事をすることが増え、生まれたばかりのサユちゃんの笑顔、子どもたちと遊ぶ時間がなによりの癒やしの時間です。



手をかける暮らしが愛おしい時間を育てる

「この家に住み始めて暮らしが変わったとか、趣味が増えたとか、そういうことはありませんね」と、こちらの期待を裏切るおふたり。「でも、ダイニングテーブルは年に1回、必ずメンテナンスしていますよ」。

林業を営まれている奥さまのご実家。床の間で使われていたケヤキの板を譲り受け、石牧建築が6人掛けのダイニングテーブルに仕上げました。メンテナンスをするのは年末か春先。表面の汚れをサンドペーパーを使って丁寧に削り、自然塗料のオイルを塗り込みます。オイルは1度乾燥させたあと、もう1度塗り込む。子どもには手伝わせない、Kさんの仕事です。
「塗りむらや家を汚されるのがイヤというのもありますが、もくもくと集中して作業するのが楽しいんですよね。じゃまされたくないというか(笑)」。 


ふと目をやると、和室の漆喰の壁に落書きがあるのに気が付きました。
「最初に緑のペンで落書きして、これはマズイと思ったらしく、消そうとしてオレンジのペンで上からぐしゃぐしゃと(苦笑)」。
住み始めて半年くらいのことだったから、ふたりのショックは相当なものだったはず。でも、この事件をきっかけに家のキズには寛容になり、今はいい思い出だと笑います。漆喰はいつでも塗り直すことができますが、これがクロスだったら……。部分的な修復は不格好なので全面張り替え、そもそもクロスが廃番になっていて直すことができないというケースもあるそうです。

開け放った窓から心地よい風が室内を駆け抜けます。大きくなった木が縁側に影を落とし、葉が風に揺られさらさらと音を立てています。
「木の剪定も彼がするんですよ」と奥さま。「高い場所の枝はしなってノコギリと一緒に動いちゃうから切るのが大変なんですよ。愛着のない家だったら気が進まない仕事ですが、今は一つひとつの家仕事がとても楽しいですね」と笑うKさん。
この夏には庭の一部を花壇や家庭菜園にする予定だと教えてくれました。


浜松で生活をしてもう10年になるKさん。この家に住み始めて、やっと自分の場所だと思えるようになったと言います。木が少しずつ根を張っていくように、自分の家で暮らす日々が、浜松を自分の場所に変えていったのかもしれません。

休日は、赤ちゃんがいるのであまり遠出はせず、近くのパン屋さんで焼きたてのパンを買って、公園やピクニックに出かけることが増えたそう。
家にいても子どもたちは部屋中をぐるぐる走り回ったり、なわとびの練習をしたり、キャッチボールをしたりと自由奔放。リビングはすっかり子どもたちの遊び場になりましたが、いつかは大人の安らぎの場所にしたいとふたりは思っています。

「ちょっといいソファを買って、ギャッベを敷いて。そばには照明スタンドがあって。ふたりでのんびりお酒を飲んだり、ゆっくり映画を観たりしたいですね。でも、いつのことになるやら(笑)」。
言葉ではそんなことを言いながら、子どもたちが遊んでいる様子を愛おしく見つめるふたりがいました。
床にはミニカーを落としたあとがあり、ダイニングの杉の柱には、誕生日毎に測った子どもたちの身長が記されています。
「4歳のときのユウスケよりも、今のサキの方が背が高いね」と笑うふたり。家のあちこちに家族のかけがえのない物語が刻まれているK邸。


 

「家は、暮らしとともにある」。そんな言葉がよく似合うご家族でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

大きな木が見守る家

2022/11/02

大きな木が見守る家 [委託投稿ページ]

天竜二俣駅から車で5分ほど。二俣川にほど近い山の麓に前田さんの家はあります。杉林を背景にブラウンの落ち着いた外観が映えます。にょきっとのびた薪ストーブの煙突、家のコーナーを横貼りにした杉板であしらった多角形コーナーが印象的。


前田さんがこの場所に家を建てたのは昨年の5月。「ローンを申請したら、うっかり通ってしまって」と笑います。
きこりの仕事だけでなく、天竜の森の魅力を伝えるイベントを企画したり、学校などで出張講座をしたり、多岐にわたり活躍。観音山の東麓にある活動拠点「Kicoroの森」にはリノベーション中の古民家もありますが、子どもの通学のことを考えると不便ということもあって泣く泣くあきらめることに。


「天竜の森の魅力を伝える仕事をしているから、さすがに外材を使う訳にはいかないし(笑)天竜材を使うことにこだわったほか、間取りなどは妻にお任せしました。もっと時間があれば自分が伐採した木を使って家を建てたかったんですが、残念ですね。もしかしたら、昔に切った木が混ざっているかもと期待はしていますが」そんな前田さんが家づくりのパートナーに選んだのは、春野町に自社工房を持ち、大工職人でもある「石牧建築」の石牧真志さん。設計は石牧さんと親交の深い「しましま設計室」の西久保美和さんが担当しました。

奥様の要望は和室があることと、小さくてもいいので家族それぞれのスペースが欲しいというもの。何度かの打合せを重ねて西久保さんが提案したのは、リビングダイニングスペースに畳を敷いた「茶の間」のある家でした。前の家から使っている大きな座卓を家族5人が囲みます。ご飯を食べてお腹いっぱいになったら、そのままごろんと横になったり、座卓をどかせば遊びに来た友人が泊まる客室になったり、いろんな使い方ができるのが魅力。い草の香りにも癒されます。


畳みの向こうには板の間があり、この家を特徴付ける多角形のコーナー縁側へと続きます。2つの空間をゆるやかに区切るように八角形のヒノキの大黒柱がそびえます。そこから放射状に柱が伸びる姿は、まるで枝を広げた大きな木のよう。取材中もお子さんが柱に手を添えてぐるぐると駆け回っていました。「この木が家族を守り、木の下で楽しく過ごす暮らしをイメージしました。もっとカントリーっぽくなるかなと心配したんですが、『割角』という材を使うことで節や割れもなく、美しい仕上がりになりました」と西久保さん。

「割角」とは、木の芯(年輪の中心)がない材角で、化粧材に使われるほど美しいのが特徴。反対に芯がある木材は「芯持ち材」と呼ばれ、梁や構造などに使われます。そりが少なく丈夫な反面、節や割れが目立ちます。一般的な天竜材は、戦後の拡大造林に植えられた樹齢70年前後のものを使うことが多いそう。しかし前田邸はその倍の樹齢150年、幹も太いので割角でも構造材として使うことができました。また、石牧さんが大工としての高い技術を持っていたのも仕上がりに関係があります。プレカットのように何も考えず材木を加工していくのではなく、一つひとつ材木を吟味してきざみすることで、使う場所に適した材を見極めることができます。実際に割角の梁を見てみると、表と裏で節の数がちがいます。見える面にまで気を使えるのが手刻み加工の魅力のひとつです。


ゆったりとした縁側には、前田さんたっての希望で薪ストーブを設置。火のある暮らしに欠かせない薪ストーブですが、薪の入手が難しいのが難点。「でも、仕事場の山に沢山落ちていますから」と前田さん。そのため、ナラやクヌギといった広葉樹を使うことが一般的ですが、前田邸では杉やヒノキの針葉樹を使用。近所には山もあるからお子さんと一緒に散歩がてら、必要の落ち葉を拾いに行くこともあるとか。「薪ストーブがあると、森の中で捨てられる木も、燃料という資源になるんですよ」と話すのが印象的でした。杉やヒノキを使っていることもあって、ストーブの扉を開けると煙がこぼれます。使い始めて3カ月ほどですが、ストーブの上の柱がいぶされて、ほんのり色づいているようにも見えます。日々の暮らしが刻まれていく様子に「木の家と薪ストーブは相性がいいと思いますよ」と話してくれたことがわかるような気がします。



自然の恵みに感謝して 自らつくる楽しさを知る

前田さんは千葉県出身。奥さまも神奈川県の出身とのことで、ふたりとも天竜には縁もゆかりもありません。大学卒行後、前田さんは尾瀬の山小屋で住み込みの仕事を始めます。その後、海外を放浪する中で、砂漠などとはちがい、どこでも草木が生える日本の自然のやさしさに気付きます。その後、バイクで日本を巡り、住みかとなる場所を探す旅に出かけます。

浜松にたどり着いたのは、以前林業の研修で滞在したことがあったことと、街と自然との距離が程よかったから。「和歌山の山にも行ったんですが、20代半ばの青年には素朴すぎました。なんか隠居生活見たいで(笑)」さらに、人生の目標とするおじいさんとの出会いも大きかったと言います。「山のお年寄りって本当に元気で、都会の人とは全然ちがう。僕の知っている方も山の斜面をすいすい上っていく。若い頃は『水窪のカモシカ』と呼ばれていたそうです(笑)畑仕事や山のことなど、暮らしの知恵や技術を持っているので、若い人たちから尊敬されています。自分もそんなおじいさんになりたいという憧れがありました」そんなことで天竜に漂着して、もう14年。きこりの仕事のかたわら、天竜の森の魅力を伝える活動を通じ仲間も増え、今ではすっかり天竜の人になりました。「天竜に根をはって、やっと芽が出てきた感じです」と前田さんが笑います。天竜材がふんだんに使われている前田邸。さらに、庭に植えられたクロモジといった植栽や石は山から持ってきたものだったり、庭の土留め板に天竜の材が使われていたり、山の恵みをそこかしこに見つけることができます。さらに、庭の片隅に奥さまお手製の竹の物干し台も。「僕の趣味は、暮らしだから」と笑う前田さん。

お金を払えばたいていのものを買える時代になりました。もちろん、お金で時間を買うという理屈も分かります。前田さんがきこりであることも理由かもしれませんが、捨てられる丸太を切って薪にしたり山の木や石で庭をつくったり、もらった鹿の肉を燻製にしたり、自然の恵みを資源として捉え、ものをつくることは、大げさですが、人生の大いなる楽しみなのではないかと思わずにはいられません。

前田さんが家を建てようと思ったきっかけは、子どもが生まれ、自分に何かあったときに、家くらい残しておきたかったからだといいます。それは、単なる箱としての家ではなく、そこのでの暮らし、生きるためのスキル、豊かな自然への感謝などを含めて「家」と言っているんだと、お話を聞いて気付きました。家は人生であり、学びの場でもあるのかもしれません。前田さんの新しい暮らしは、まだ始まったばかりです。

(撮影/内山文彦氏・文/キーウエストクリエイティブ)

挑戦中

2022/10/17

挑戦中 [遠州に暮らす:手刻み大工と設計部の日常]

こんばんは
夏も終わり過ごしやすくなってきました!
朝と夜は少し肌寒く、日中との気温差があると思うので
体調には気をつけてください。

先日S社の待合室の壁オブジェを制作し取り付けてきました。
大学生がデザイン、材などを決めて設計したそうです。
切り株や背面のパネルは地元の木を使い、
四角や三角など様々な色や形の物はS社で扱っている
鉄で作られた物です!
S社のイメージカラーである青色の鉄と切り株で
鳥をイメージして設計したとのことでした!
自分では思い付かないようなことを考えて
設計していてとても勉強になりました!
まだ飾られていませんが鳥の羽をイメージして名栗加工が
された木を使う予定です!

住宅ではなく他の会社の物作りに携われていい勉強にもなりました。
壁オブジェだけではなく、家具やパーテーションなども
制作するのでいいものを作りたいと思ってます!

最後に多肉植物ですが、
前回と同じで変化なしです。
枯れてはないので元気に育って欲しいですね。。

Takumi Ito

珍しく

2022/09/18

珍しく [遠州に暮らす:手刻み大工と設計部の日常]

こんにちは。

9月になりあと少しで年越しです。

口ぐせではないですが、9月になったらもう年越しだよってついつい言ってしまいます。

相変わらずコロナのせいでいろいろと生活など規制されてます。
だいぶ緩和されてきましたがそろそろ元の生活に戻していってほしいです。
国民性なのか、みんなの声を聞こうとする人のせいなのか…。
個人的には両方だと思いますが。

あっ。BANされませんように…。

以前書いたのですが学び直しのブームがまだ続いております。
歴史の話はさておき、近頃は経済の学び直しをしてます。
私のレベルだと浅い程度ですが、お金の発生の仕方など世の中の仕組みを学んでおります。
世に言う成功者の本は真似出来ないので読まないのですがビジネス系がとてもおもしろいです。
世界はものすごい勢いと速さで動いてるので必死です。
「勝って兜の緒を締めよ」
なんて言いますが油断は禁物です。
自分で格言を作るのが好きで何個か有るのですが、
「人の評価は次の日には変わるものだからアテにしない」がブームです。

年内はまだ有りますが、ちょっとずつ小出ししながら試していこうと狙ってます。
アンラーニング…お勧めです。
珍しく続いておりますの珍しくです。

OKUYAMA :)

全部で89件中 41-50件を表示