「石牧さんの家を建ててほしい」。そうリクエストいただいて現地にお伺いしたとき豊かな自然を最大限に生かし、庭の桜の木をシンボルにしようと思いました。本当にお任せという真っ新な状態で家づくりをさせていただくことは、あまり機会がないこと。思い切り石牧建築らしい、私たちがご提案したい家を設計させていただいた、とても印象深い家です。
設計図をご覧いただいた際、「この家のネーミングは?」とキラキラしたした期待の目を向けられ、お時間をいただいて付けた名前が「桜軸のいえ」でした。桜の方向に軸を取り、その軸に対して直角に床板を張ることで目線が桜に向くように。桜を中心に空間が広がり、家族の幸せが広がるようにと願って。
石牧建築の家を気に入り、お任せで家を建てた鈴木様に家づくりのエピソードや暮らしの楽しさをうかがいました。
石牧建築 しましま設計室 一級建築士 西久保 美和
家を建てようと思ったきっかけは何でしたか?
- ご主人
- 妻に「おいしいコーヒー屋さんがイベントに出店するから行かない?」と誘われて行ったのが、石牧建築さんの現場見学会だったんです(笑)。僕はその時、家を新築する気は全然なくて、ホントに家族でお出掛け気分でした。でも現地に行ってみたら、木をふんだんに使っていて、梁が見えたり漆塗りだったり、2つとない家だというのが随所に感じられました。良いな、こういう家に住みたいな、という気持ちが湧いてきました。そこからちょっと話を聞こうかという話になり、ローンのこともいろいろアドバイスやご提案をいただいて、家づくりが急に現実味を帯びてきたんです。そして、年齢的にも今しかない!と(笑)。
- 奥さま
- 私は、結婚したら自分たちの家がほしいとずっと思っていたので、その気になったらいいなーという下心があって誘ったんですけど、期待以上にその気になってしまって。ほとんど衝動買い(笑)。初めての見学会は『漆梁の家』ですごく良かったんですけど、次に見に行った『星乃家』もすてきでした。
- ご主人
- 石牧建築さんの家を見て、ホームページを拝見させていただいて、マイホームの概念が変わりました。それまでは、目に入ってくる情報として、いろんなところが注文住宅とかうたっているけど、どうせABCの中から選択するくらいでしょ、似たかよったかじゃないの?と思っていました。それに、一番のPRポイントが地震に強いって、そんなの当たり前じゃないの?って。だから全く響かなかったんですよね。
- 奥さま
- そうそう。地震に強いって、それって常識じゃないの?と。当たり前についてくるものだと思っていたから、私たちにとってはPRポイントにはなっていなかったよね。
- ご主人
- 確かに。でもそういう素人の考えをしっかり受け止めてくれてるなと思ったのも、石牧建築さん。石牧建築さんで家を建てたいと思ってから、会社の考えとかを知りたいと思って、ウェブサイトとブログを隅々まで読み込みました。その中で一番心に響いたのは、社長さんのブログ。耐震性とか気密性とか、石牧建築さんの一番のPRポイントは機能性ではないのに、そこをしっかり説明していた。素人では分からないことも分かりやすく説明していたし、知識の深さもうかがい知れるものだったので、とても信用できたんです。デザイン性がすばらしくて、機能性もしっかりあって、おまけに大工仕事ってところも、僕としては非常に好感が持てました。
どのように家づくりが進んだのですか?
- 西久保
- 設計を始める前に、『おうちノート』というヒアリングシートのようなものがあって、住みたい家のイメージや、どんな暮らしがしたいか、どんなお部屋や間取りが欲しいかなど記入していただくんですが、鈴木様はびっくりするほど少なかったんです。大抵のお客さまはびっしりノートいっぱいに書かれるんですけど、鈴木様は外観や全体のイメージのご希望は書かれていなくて、猫の部屋、食洗機、ウッドデッキとか超ピンポイント。本当に最低限欲しいものだけを書かれているなという印象で、いつもと違うぞと、逆に戸惑ったことを覚えています。
- 奥さま
- 石牧建築さんの家を見に行ったら感じが良かったから、こういう家がいいなーとしか思わなかったですし、こういう家を建ててくれると信じていました(笑)。
- ご主人
- 自分たちは、当たり前だけど家に関して素人。石牧建築さんの家を見て「これが良い」と思ったので、「石牧さんの家を建ててください」と。それが一番の希望でした。どんな提案をしてくれるのか、とてもワクワクしました。
- 西久保
- ある意味プレッシャーでしたが、そういうオファーをいただけたことが本当にうれしかったですし、腕が鳴りました。実は内心「やった!」とガッツポーズしてました(笑)。石牧建築の良さを存分に詰め込んで、さらに私が好きなテイストをスパイスにした家を建てられるなんて、こんなチャンス2度とないかもしれないと。私もワクワクして楽しかったです。
- 奥さま
- 設計図を見ても、「良い!すてき!」としか感想がなかったです。唯一の変更は、キッチンの向きを窓側ではなくリビング側に、庭に向くように変えてもらったことでした。
- 西久保
- 石牧建築の家を本当に気に入ってくださったんだなと、うれしさが募りました。でも納戸としてご提案したつもりだった部屋が、お二人の中では最初から「猫の部屋」として認識されて話が進んでいったのは、楽しい誤算でした。私的には、猫も快適に住める家というイメージで、単独で猫の部屋を作ることは想定していなかったんですけど、うれしそうなお二人を見て「それは納戸です」とは言えず、今初めて言いました(笑)。
この家のポイントは、なんと言っても桜を中心としたところでしたね。
- 西久保
- 初めてこちらに伺ったとき、桜の木がとても印象的で、これをシンボルにした家という方向でイメージが膨らみました。家全体の造りや雰囲気はシンプルに仕上げ、ひとさじアクセントとして桜に向かって床板を斜めに張りました。桜の木へ目線が向くようになり、また部屋自体の視覚的拡がりも生まれます。私がこの家の設計でこだわったことのひとつです。大工さんにも「ここの出来栄えで、この家のすべてが決まる」と伝えました。
- 奥さま
- どおりで!大工さんが時間をかけていたわけが今分かりました。実は毎日のように家づくりの現場を見に来ていたんですけど、床板をはめるとなったとき、最初に取りかかった角の数枚に、大工さんがすごく丁寧に時間をかけていたんですよ。「大変そうだなー」「あ、床板斜めなんだー」と思って見ていたんですけど、西久保さんからのプレッシャーがあったんですね(笑)。
- 西久保
- 手間がかかるのは分かっていましたが、本当にこの家の肝になる部分だったので、家づくりの想いをしっかり共有したいと思ったんです。
- ご主人
- 斜めの床板とか、そういうアクセントの付け方の概念は素人にはないもので、まさにプロの仕事、こだわりを見せてくれた!という感じで感動しました。それに住み始めてみて、本当に桜の方へ意識が向くことに再び感動。僕たちにとっては当たり前だった景色が、桜を中心にした家を建ててくださったことで、特別な景色になったと思います。
- 奥さま
- 親族の家族もみんな集まって、お弁当作って、ウッドデッキでお花見もしたしね。それだけでも石牧建築さんに家を建ててもらって良かったって思えます。
実際に暮らしてみて、住み心地はいかがですか?
- ご主人
- 本当に住みやすいと日々感じています。おしゃれだけど、いや、おしゃれだからこそ、すべて計算し尽くされていて、無駄がない。こういうのを機能美って言うんでしょうね。豪邸という言葉の概念も変わりました。今までは豪邸は贅沢な広さの豪華な家だと思っていましたけど、石牧建築さんの家に住んでみて、住みやすくて生活が楽しい家こそが豪邸と呼ぶにふさわしいと。普段の生活の中にある心の贅沢を感じられるかどうかって、大事だと思うんです。あとは、妻が毎日すごく楽しそうに暮らしていること(笑)。そこが僕の何より一番の満足ポイントです。
- 奥さま
- 周りの環境を最大限に生かしていて、自然に溶け込んでるところも私は好きです。
- 西久保
- この環境、なかなかないなと思って生かしたいと思いました。最初に来たときは、正直「すごい所に来ちゃったな」と思いましたし、出会う虫たちがことごとく見たことのない大きなサイズだったのも、驚きましたけど。
- 奥さま
- それ、私も思いました。私の生家は海の近くで結構な田舎だったのですけど、真逆の山奥の田舎に来たなと。驚くこともありましたけど、すっごく静かでこっちの環境の方が好です。ただ、初夏のカエルの大合唱だけは驚きを超えて衝撃的でしたね。でもあるとき、学者さんがわざわざカエルの声を録りにくるくらい貴重な場所だということを知って、ここにしかない特別な音楽なんだと思うようになりました(笑)。
- 西久保
- こんなに自然に囲まれていて、景色も風も心地良いし、沢も近くにあって空気も何だか清らかだし、本当に良いところですよね。石牧建築の木の家にぴったりの場所だと思いました。
石牧建築は天竜杉など地元産の木を使っているのですよね。
- 西久保
- そこが私たちの強みです。
- ご主人
- 僕が家を建てたいと思ったきっかけを作ってくれたのは、石牧建築さんのこだわりが見える木の家との出会い。木をふんだんに使ってもらいたくて、作り付けの家具も家と同じ木を使って作ってもらえるよう、オーダーしました。
- 西久保
- 床をはじめとした家の素材や、テーブルなどの家具類は天竜杉。キッチンのカウンターは天竜産の山桜です。家具は「わざわ座」という家具デザイナー・小泉誠さんと大工さんのコラボ作品です。
- ご主人
- 大工仕事とデザイナーというおしゃれ感と、すぐ隣の天竜で育った地元の木を使っているというこだわりも、非常に惹かれました。それから、西久保さんが設計士にもかかわらず、現場によく足を運んでくれることとか、墨付けを自らしてくれたことなどは特に感動しました。僕たちの家をつくるために、今までやったことがない大工仕事にチャレンジしてくれた。そのことがすごくうれしかったです。
- 西久保
- そう感じていただけていたなら、私もとてもうれしいです。墨付けは本来、熟練した大工の技が必要な作業。大工のプライドのかかった仕事と言っても過言でありません。そんな大役を任せていただくことになり、鈴木様からの信頼の厚さに感動しつつも、これまでにないプレッシャーも感じました。しかし、お任せいただいたからにはやり切ろうと思いました。さすがに手刻みはできませんけど、石牧建築の仲間から身をもって大工仕事を学んでこいと背中を押され、大工さんに弟子入り状態で教えてもらうことになりました。春野の加工所に通って墨付けをした日々は、とても大変でしたが充実していて、とても良い経験ができました。そんな機会をくださったお二人に感謝しています。
この家のお気に入りポイントはどこですか?
- ご主人
- すべてです(笑)。さっきも言いましたけど、生活していて無駄な場所がないこと、そして奥さんが笑顔でいてくれること。全部が気に入っています。
- 奥さま
- 私はキッチン。特に壁面の一部に使ってあるグレーがかかった微妙な色合いのベージュのタイルがすごくいいなって。あとは、リビングに立って桜の木方向を向いて見上げたときの、障子と梁の感じがとても好きです。木のぬくもりが感じられるむき出しの梁はもちろんですが、上の窓に障子というチョイスがおしゃれだなって。
- ご主人
- そういうピンポイントなら、あります。漆塗りのトイレの床。床でも家具でもどこでもいいから、どこかに漆を塗ってかっこよくしてほしいとリクエストしたんです。それで、その場所は家ができるまでのサプライズにしてくださいとも。
- 西久保
- トイレの床や、洗面カウンター、キッチンの側板など。あと、テーブルの裏の梁(たわみの止め)にも施しました。
- ご主人
- 家ができたとき、宝探しみたいですごく楽しかったです。
- 奥さま
- 玄関も私は好き。木の外観なのに玄関だけコンクリートでモダン。ちょっと隠れ家みたいな雰囲気がかわいい。
- 西久保
- ちょっと離れのような立ち位置にあるので、大きな玄関ではなく母屋の勝手口というイメージで、小さめに、そしてアクセントとしてモルタルの玄関にしました。私もここ、お気に入りの一つです。
- ご主人
- 外観と言えば、このボコボコした押縁のデザインもおしゃれ。こういうの見たことがなくて、他にないなと。自慢の一つです。あと、表札の字は、西久保さんが書いてプレゼントしてくれたんですよね。最後の仕上げ、みたいな感じでうれしかったです。ありがとうございました。
最後にこれから家を建てたいと思っている皆さんにアドバイスを。
- ご主人
- 一生物なのでこだわった家にした方が良いと思います。僕らも妥協して後悔したくないと思いました。石牧建築さんというすばらしい出会いがあって、お任せ状態で建てた家ですが、妥協したところはありません。この出会いが妥協するところがないという状況を生んでくれたと思うので、すごく恵まれているんじゃないかと思いますが、家を建てる会社を選ぶところで妥協しないことが一番かなと思います。
- 奥さま
- 良いなと思った家をつくっている会社と、建てる人との出会いは特に大切だなと思います。西久保さんに家づくりをお任せして、本当に感謝しています。暮らしていて、本当に困ることとか、こうすれば良かったと思うところがないんです。だから家を建てるときも、人との出会いは大切にしてほしいかなと思います。