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狭い玄関ポーチも魅力的に!スマートな空間活用術をご紹介します

2024/04/24

狭い玄関ポーチも魅力的に!スマートな空間活用術をご紹介します

空間の限られた住環境に暮らし、デザイン性と機能性を追求するセンスを持つ人たちは、狭い玄関やポーチを最大限に活用し、快適でおしゃれな空間を作り出したいと考えています。
この記事では、限られたスペースでも実現可能な玄関・ポーチのデザインと機能性向上のアイデアをご紹介します。

□玄関・ポーチの重要性と基本役割



玄関とポーチは、家の顔ともいえる大切なスペースです。
外からの第一印象を左右するだけでなく、住まい全体のデザインと快適性に大きく貢献する役割を持っています。
以下、玄関・ポーチの重要性とその役割について見ていきましょう。

*外と内を仕切る機能



玄関は外部と内部を隔てる大切な役割を果たしています。
この機能により、プライバシーの保護と安全性の向上が図られます。

*住まいの断熱性能をアップさせる



玄関・ポーチは断熱性を高める効果もあります。
外気の直接的な影響を受けにくくし、室内の温度を保ちやすくします。

*外観全体の印象や雰囲気を左右する



デザイン性に優れた玄関・ポーチは、住まい全体の美しさを引き立てます。
訪れる人に良い印象を与えるためにも、デザインには特に気を付けましょう。

□狭いスペースのデザイン法とは



狭い玄関ポーチであっても、ちょっとしたアイデア次第で、その魅力を引き出し、訪れる人に心地よい印象を与えられます。
以下に工夫した方が良いポイントをいくつかご紹介します。

1:照明の工夫



照明は、空間の雰囲気を大きく左右する要素です。
たとえば、間接照明を採用することで、柔らかな光が空間全体を包み込み、落ち着きのある雰囲気を作り出せます。
夜間に玄関ポーチを優しく照らすダウンライトや、壁面を彩るブランケットライトを使用して、日中だけでなく夜にも表情豊かな空間を演出することが可能です。
また、表札にスポットライトを当てることで、細部にわたるこだわりが感じられる高級感を演出することもおすすめです。

2:植物の配置



植物を利用することで、玄関ポーチに自然の温もりとやさしさを加えられます。
季節に応じて選んだ植物を上手に配置することで、年間を通じて訪れる人々を新鮮な気持ちで迎え入れられます。
木製やアイアン製のプランターに植えた小さな植物を複数配置することで、空間に奥行きを与えるとともに、玄関ポーチの広さや日照条件を考慮しながら、あたたかみのある印象を与えられます。

3:オブジェのセレクト



個性的なオブジェの配置により、玄関ポーチにアクセントを加えることが可能です。
家の外観やアプローチの雰囲気に合わせたオブジェを選ぶことで、訪れた人の目を引き、印象深いエントランスを作り出せます。
ただし、スペースの限られた狭い玄関ポーチでは、配置に際して工夫が必要になります。
素焼きや木、アイアンなど、素材を統一したオブジェを選ぶことで、数が多くても整然とした印象を保ち、センスの良さをアピールできます。
さらに、玄関ポーチが本来通行スペースであることを念頭に置き、見た目の美しさだけでなく、通行のしやすさも考慮することが重要です。

□まとめ



狭いスペースでも工夫次第で、魅力的な玄関・ポーチを実現することが可能です。
重要なのは、デザイン性と機能性を両立させること。
この記事で紹介したアイデアを参考に、みなさんの玄関・ポーチをより快適でおしゃれな空間に変えてみてください。


当社では自然素材や天竜材を使った木造の注文住宅、一戸建ての家を設計・施工しています。
ぜひデザインにこだわりたい方は当社へご相談ください。

無垢素材のある生活 天然木がもたらす暮らしの豊かさ

2024/04/20

無垢素材のある生活 天然木がもたらす暮らしの豊かさ

自然素材への関心が高く、持続可能な生活に価値を見出す人たちが増えています。
特に、健康的かつ環境に優しい住環境を求める人々にとって、素材選びは大切なポイントです。
そんな中で、無垢素材の魅力が再評価されています。
この記事では、無垢素材の特性とその活用方法について、深く掘り下げていきます。

□無垢素材の魅力とは?天然木の持つ可能性



無垢素材は、その名の通り、木材をそのまま使用した素材です。
合板や化学素材と異なり、天然の木から直接切り出された無垢材は、特有の風合いや質感を持っています。

1:天然木ならではの風合い



無垢材の最大の魅力は、その温かみのある風合いにあります。
天然木特有の肌触りや木目の美しさは、合成素材では決して再現できないものです。
さらに、手で触れることで感じる温もりは、心を穏やかにしてくれる効果もあります。

2:経年変化を楽しめる



無垢材は時間が経つにつれて色味が変化し、使い込むほどに味わいが増します。
この経年変化は、無垢材ならではの醍醐味であり、所有する喜びのひとつです。
使う人と共に成長し、変化する無垢材は、まるで家族の一員のような存在にもなり得ます。

3:調湿作用がある



無垢材には優れた調湿作用があります。
湿度が高い時には余分な湿気を吸収し、乾燥している時には水分を放出することで、室内の湿度を自然と調節します。
これにより、快適な室内環境を保てます。

□日常で輝く!無垢素材のお手入れ方法



無垢素材を長く美しく保つためには、適切なお手入れが必要です。
ここでは、基本的なお手入れ方法について紹介します。

1:乾拭きでのお手入れ



日常的なお手入れとしては、乾拭きが最も基本的です。
柔らかい布で軽く拭くだけで、ほこりや汚れを取り除けます。
水拭きは必要最低限に留め、水分によるダメージを防ぎましょう。

2:水拭きのポイント



水拭きを行う場合は、布をよく絞ってから拭くことがポイントです。
また、水拭き後は乾いた布でしっかりと水分を拭き取ることが重要です。
定期的な水拭きは、無垢素材を清潔に保ち、長持ちさせるためにも効果的です。

□まとめ



無垢素材は、その天然の魅力と経年変化を楽しめる特性から、多くの人に愛されています。
適切なお手入れを行うことで、長く美しい状態を保てます。
自然素材へのこだわりを持つことで、健康的かつ持続可能な生活を実現できるでしょう。


当社では皆さまのお住まいの地域に合わせた自然素材を用いて建築いたします。
自然素材を体感したい方はぜひ当社にお気軽にご相談ください。

L字ウッドデッキで創る!理想の屋外リビングの世界をご紹介

2024/04/16

L字ウッドデッキで創る!理想の屋外リビングの世界をご紹介

家族や友人と過ごす時間はかけがえのないもの。
屋外リビングスペースはそんなひとときをより豊かにしてくれます。
この記事では、L字型ウッドデッキの魅力と、それを取り入れた屋外リビングスペースの計画・設置について解説します。
自宅の庭を活用して、快適な屋外リビングを実現しましょう。

□ウッドデッキの用途とL字を含むサイズの選び方



ウッドデッキ設置の際、最初に考えるべきはその用途です。
子供の遊び場、洗濯物干し、リラックス空間、または友人や家族とのバーベキュースペースとして。
用途に合わせたサイズ選びは重要で、具体的な推奨サイズについて解説します。

1:子供の遊び場として



子供がのびのびと遊べるウッドデッキは、最低でも1.5間×7尺のサイズがおすすめ。
ビニールプールを置いたり、走り回るスペースとしたりして、家族でのびのびと過ごせる場所になります。

2:洗濯物干しスペースとして



毎日の洗濯物を楽に干せるウッドデッキは、2.0間×6尺以上のサイズを目安に。
段差をなくし、快適な洗濯物干しスペースを実現します。

3:ガーデンファニチャーでのくつろぎ空間として



外気に触れながらのリラックスタイムを過ごすためには、1.5間×6尺以上のサイズが適しています。
ガーデンファニチャーを配置して、自然を感じながらのくつろぎ空間を作り出しましょう。










□屋外リビング計画のポイント



1:屋内リビングとの一体感を大切にする



屋外リビングを計画する際には、屋内リビングとの一体感を意識することが重要です。
一体感を持たせるためには、屋内と屋外の床材を似た色や質感で揃えることで、視覚的に広がりを感じさせる効果があります。
また、床の高さを揃えることで、屋内と屋外が自然に繋がっているような一続きの広い空間を演出できます。


2:プライバシーを確保する工夫

 
リラックスできるアウトドアリビングにするためには、プライバシーの確保が欠かせません。
まず、適切な土地選びが重要です。
広さや周囲の環境を考慮し、視線や騒音の問題を避けるために閑静な住宅街などを選ぶことが望ましいです。
目隠しとしては、ブロック、木材、石垣、ベランダルーバー、塀、植栽などを活用することで、隣家や通行人からの視線を遮り、安心して過ごせる空間を作り出せます。

3: 快適なアウトドア時間を楽しむための家具や設備

 アウトドアリビングを快適に楽しむためには、家具や設備選びも重要です。
タープやシェードを使用して日差しを避けることで、日中の暑さを和らげ、リゾートのような雰囲気を演出できます。
 
食事用のテーブルやイスは、開放感を損なわないロータイプがおすすめです。
また、ハンモックを設置することで、読書や昼寝を楽しむこともできます。
 
家具のテイストは、屋内リビングと統一感を持たせることで、全体のデザインがまとまり、より一体感を感じられる空間が完成します。
前章で紹介したウッドデッキも選択肢の一つとして考慮してはいかがでしょうか。




 

□まとめ



L字型ウッドデッキは、さまざまな用途に応じた屋外リビングスペースの計画・設置に適しています。
屋外リビング計画のポイントとしては、屋内との一体感を意識したり、プライバシーも考慮したりすることが大切です。


なお、当社ではアフターサービスによる長期サポートを行い、お客様の長期的な住まいのメンテナンスをサポートしています。
家を建てた後も、長く住み続けられる家にしたい方は、お気軽にお問い合わせください。

吹き抜けのデメリットを乗り越えて理想の空間を設計する秘訣をご紹介します!

2024/04/12

吹き抜けのデメリットを乗り越えて理想の空間を設計する秘訣をご紹介します!

新しい住まいづくりに挑む家族は、革新性と開放感を追求することが多いです。
特に、吹き抜けの設計は多くの家族が検討するポイントの一つです。
吹き抜けは、家の中に開放的な空間を作り出すせて、明るく風通しの良い生活空間を提供します。
しかし、このようなデザインにはデメリットも存在します。
今回は、吹き抜けの魅力とデメリットを理解し、それらを踏まえた上で最適な住宅設計の考え方をご紹介します。

□吹き抜けの魅力とは?



吹き抜けはリビングや玄関、階段スペースに設けることが多く、2層分の高さのある空間を作り出します。
都市部をはじめとする狭い土地でも採光を確保しやすく、太陽の光を1階まで取り込むことが可能です。
また、吹き抜けにより家族間のコミュニケーションが円滑になることも大きなメリットです。

1:開放的な空間の演出



吹き抜けによって、空間が縦に広がり、開放感を演出できます。
これにより、家全体が明るく清々しい空間になります。

2:通風・採光の向上



窓が高い位置に設置できるため、太陽の光をしっかりと取り込み、空気が循環し風通しも良くなります。

3:家族のコミュニケーション促進



吹き抜けにより1階と2階の空間のつながりができることから、家族間のコミュニケーションがより円滑になります。



□吹き抜け設計のデメリットとその対策



吹き抜けの設計には、床面積の縮小、音の問題、断熱性・気密性への影響といったデメリットが存在します。
これらに対する実践的な対策を挙げます。

1:床面積の有効活用



吹き抜けにすることで2階の床面積が狭くなるため、スキップフロアやリビング階段を取り入れて、空間を広々と有効に使うことを提案します。

2:断熱性・気密性の向上



吹き抜けの設計には断熱性・気密性を高めることが不可欠です。
エアコンやシーリングファン、ダクトを設置して、上部に溜まった空気を循環させることで、熱効率を向上させます。

3:プライバシーと音の対策



吹き抜けでの音の問題やプライバシーの確保には、部屋の配置や素材選びが重要です。
個室をきちんと確保し、音が伝わりにくい素材を選ぶことで、これらの問題に対処します。


なお、当社では長期保証を提供し、安心した住まいづくりをサポートしています。
はじめての方でも安心して利用できますので、気になった方はお気軽にお問い合わせください。

□まとめ



吹き抜けは、開放感や採光、通風の向上など多くのメリットを持つ一方で、床面積の縮小や音の問題、断熱性・気密性への影響といったデメリットもあります。
これらのデメリットに対する対策を講じることで、吹き抜けの持つポテンシャルを最大限に活かし、快適で機能的な住空間を実現することが可能です。
この記事が、新しい住まいづくりに挑む家族の一助となれば幸いです。

石牧建築 標準仕様カタログ1 公開中

2023/07/07

石牧建築 標準仕様カタログ1 公開中

最もリーズナブルで簡潔な住まいを作るために石牧建築が良いと思うアレコレ。 地域の環境と職人とお財布に優しい仕様をお勧めしています。

最もリーズナブルで簡潔な住まいを作るために石牧建築が良いと思うアレコレ。 
地域の環境と職人とお財布に優しい仕様をお勧めしています。

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石牧建築仕様カタログ1
高画質でご覧になりたい方は、以下のリンクよりPDFをご覧ください。

https://www.dropbox.com/scl/fi/c6sbxj2jtmlbgks14yma4/230423-CATALOG.pdf?rlkey=kuhud99iexrbe357t9io2r8sp&dl=0

SNSの発達により、情報がありふれた昨今では
皆様が家づくりを行うにあたり多すぎる情報が目に入るようになりました。
もちろん、皆様の思う住まいを建てるために様々な情報を集めて
理想の住まいを探求することは面白く、一生のうちの最大の買い物を行うにあたり準備は多いに越したことがありません。

ただし、石牧建築のように
手刻み大工と地域の職人さんの手で建てる家づくりには様々なステークホルダーも存在します。
輸送距離や、使用されている材料。もちろんコストも関係しています。さらには、生産過程における思いや歴史なども。

石牧建築では
石牧真志を筆頭に数名の大工と、佐原広祐&西久保美和を中心とした設計部が、皆様の住まいづくりに尽力致します。
これまで家づくりを行ってきた経験と機転で皆様の思い描くライフスタイルを支え
素敵な住まいが出来上がるように手仕事を致します。

家づくりに悩む前に
まずはこれらの仕様をご覧ください。

カタログに記載されている情報の詳細については今後開催する完成見学会やヒアリングの機会に
お気軽にお尋ねください。
皆様とお話しできる機会を楽しみにしております。







P.S.
石牧建築スタッフの略歴についても今後どこかで紹介していきます。
皆様の家づくりを行う人間が何者なのか?
気になる話があれば是非、InstagramやTick tok等へDMをお送りください!

Instagram

石牧建築/ISHIMAKI KENCHIKU <運営者:浅野太智 他>  
@ishimaki_kenchiku 

石牧建築 大工チーム <運営者:合田武司 君澤ひかり 伊藤琢海 他>
@ishimaki_daiku

しましま設計室(西久保美和)  <運営者:西久保美和 他>
@4ma4ma_arc


Tik tok
石牧建築 大工チーム 
@ishimaki_daiku

桜軸の家

2022/11/02

桜軸の家

「石牧さんの家を建ててほしい」。そうリクエストいただいて現地にお伺いしたとき豊かな自然を最大限に生かし、庭の桜の木をシンボルにしようと思いました。本当にお任せという真っ新な状態で家づくりをさせていただくことは、あまり機会がないこと。思い切り石牧建築らしい、私たちがご提案したい家を設計させていただいた、とても印象深い家です。
設計図をご覧いただいた際、「この家のネーミングは?」とキラキラしたした期待の目を向けられ、お時間をいただいて付けた名前が「桜軸のいえ」でした。桜の方向に軸を取り、その軸に対して直角に床板を張ることで目線が桜に向くように。桜を中心に空間が広がり、家族の幸せが広がるようにと願って。

石牧建築の家を気に入り、お任せで家を建てた鈴木様に家づくりのエピソードや暮らしの楽しさをうかがいました。


石牧建築 しましま設計室 一級建築士 西久保 美和

家を建てようと思ったきっかけは何でしたか?

ご主人
妻に「おいしいコーヒー屋さんがイベントに出店するから行かない?」と誘われて行ったのが、石牧建築さんの現場見学会だったんです(笑)。僕はその時、家を新築する気は全然なくて、ホントに家族でお出掛け気分でした。でも現地に行ってみたら、木をふんだんに使っていて、梁が見えたり漆塗りだったり、2つとない家だというのが随所に感じられました。良いな、こういう家に住みたいな、という気持ちが湧いてきました。そこからちょっと話を聞こうかという話になり、ローンのこともいろいろアドバイスやご提案をいただいて、家づくりが急に現実味を帯びてきたんです。そして、年齢的にも今しかない!と(笑)。
奥さま
私は、結婚したら自分たちの家がほしいとずっと思っていたので、その気になったらいいなーという下心があって誘ったんですけど、期待以上にその気になってしまって。ほとんど衝動買い(笑)。初めての見学会は『漆梁の家』ですごく良かったんですけど、次に見に行った『星乃家』もすてきでした。
ご主人
石牧建築さんの家を見て、ホームページを拝見させていただいて、マイホームの概念が変わりました。それまでは、目に入ってくる情報として、いろんなところが注文住宅とかうたっているけど、どうせABCの中から選択するくらいでしょ、似たかよったかじゃないの?と思っていました。それに、一番のPRポイントが地震に強いって、そんなの当たり前じゃないの?って。だから全く響かなかったんですよね。
奥さま
そうそう。地震に強いって、それって常識じゃないの?と。当たり前についてくるものだと思っていたから、私たちにとってはPRポイントにはなっていなかったよね。
ご主人
確かに。でもそういう素人の考えをしっかり受け止めてくれてるなと思ったのも、石牧建築さん。石牧建築さんで家を建てたいと思ってから、会社の考えとかを知りたいと思って、ウェブサイトとブログを隅々まで読み込みました。その中で一番心に響いたのは、社長さんのブログ。耐震性とか気密性とか、石牧建築さんの一番のPRポイントは機能性ではないのに、そこをしっかり説明していた。素人では分からないことも分かりやすく説明していたし、知識の深さもうかがい知れるものだったので、とても信用できたんです。デザイン性がすばらしくて、機能性もしっかりあって、おまけに大工仕事ってところも、僕としては非常に好感が持てました。

どのように家づくりが進んだのですか?

西久保
設計を始める前に、『おうちノート』というヒアリングシートのようなものがあって、住みたい家のイメージや、どんな暮らしがしたいか、どんなお部屋や間取りが欲しいかなど記入していただくんですが、鈴木様はびっくりするほど少なかったんです。大抵のお客さまはびっしりノートいっぱいに書かれるんですけど、鈴木様は外観や全体のイメージのご希望は書かれていなくて、猫の部屋、食洗機、ウッドデッキとか超ピンポイント。本当に最低限欲しいものだけを書かれているなという印象で、いつもと違うぞと、逆に戸惑ったことを覚えています。
奥さま
石牧建築さんの家を見に行ったら感じが良かったから、こういう家がいいなーとしか思わなかったですし、こういう家を建ててくれると信じていました(笑)。
ご主人
自分たちは、当たり前だけど家に関して素人。石牧建築さんの家を見て「これが良い」と思ったので、「石牧さんの家を建ててください」と。それが一番の希望でした。どんな提案をしてくれるのか、とてもワクワクしました。
西久保
ある意味プレッシャーでしたが、そういうオファーをいただけたことが本当にうれしかったですし、腕が鳴りました。実は内心「やった!」とガッツポーズしてました(笑)。石牧建築の良さを存分に詰め込んで、さらに私が好きなテイストをスパイスにした家を建てられるなんて、こんなチャンス2度とないかもしれないと。私もワクワクして楽しかったです。
奥さま
設計図を見ても、「良い!すてき!」としか感想がなかったです。唯一の変更は、キッチンの向きを窓側ではなくリビング側に、庭に向くように変えてもらったことでした。
西久保
石牧建築の家を本当に気に入ってくださったんだなと、うれしさが募りました。でも納戸としてご提案したつもりだった部屋が、お二人の中では最初から「猫の部屋」として認識されて話が進んでいったのは、楽しい誤算でした。私的には、猫も快適に住める家というイメージで、単独で猫の部屋を作ることは想定していなかったんですけど、うれしそうなお二人を見て「それは納戸です」とは言えず、今初めて言いました(笑)。

この家のポイントは、なんと言っても桜を中心としたところでしたね。

西久保
初めてこちらに伺ったとき、桜の木がとても印象的で、これをシンボルにした家という方向でイメージが膨らみました。家全体の造りや雰囲気はシンプルに仕上げ、ひとさじアクセントとして桜に向かって床板を斜めに張りました。桜の木へ目線が向くようになり、また部屋自体の視覚的拡がりも生まれます。私がこの家の設計でこだわったことのひとつです。大工さんにも「ここの出来栄えで、この家のすべてが決まる」と伝えました。
奥さま
どおりで!大工さんが時間をかけていたわけが今分かりました。実は毎日のように家づくりの現場を見に来ていたんですけど、床板をはめるとなったとき、最初に取りかかった角の数枚に、大工さんがすごく丁寧に時間をかけていたんですよ。「大変そうだなー」「あ、床板斜めなんだー」と思って見ていたんですけど、西久保さんからのプレッシャーがあったんですね(笑)。
西久保
手間がかかるのは分かっていましたが、本当にこの家の肝になる部分だったので、家づくりの想いをしっかり共有したいと思ったんです。
ご主人
斜めの床板とか、そういうアクセントの付け方の概念は素人にはないもので、まさにプロの仕事、こだわりを見せてくれた!という感じで感動しました。それに住み始めてみて、本当に桜の方へ意識が向くことに再び感動。僕たちにとっては当たり前だった景色が、桜を中心にした家を建ててくださったことで、特別な景色になったと思います。
奥さま
親族の家族もみんな集まって、お弁当作って、ウッドデッキでお花見もしたしね。それだけでも石牧建築さんに家を建ててもらって良かったって思えます。

実際に暮らしてみて、住み心地はいかがですか?

ご主人
本当に住みやすいと日々感じています。おしゃれだけど、いや、おしゃれだからこそ、すべて計算し尽くされていて、無駄がない。こういうのを機能美って言うんでしょうね。豪邸という言葉の概念も変わりました。今までは豪邸は贅沢な広さの豪華な家だと思っていましたけど、石牧建築さんの家に住んでみて、住みやすくて生活が楽しい家こそが豪邸と呼ぶにふさわしいと。普段の生活の中にある心の贅沢を感じられるかどうかって、大事だと思うんです。あとは、妻が毎日すごく楽しそうに暮らしていること(笑)。そこが僕の何より一番の満足ポイントです。
奥さま
周りの環境を最大限に生かしていて、自然に溶け込んでるところも私は好きです。
西久保
この環境、なかなかないなと思って生かしたいと思いました。最初に来たときは、正直「すごい所に来ちゃったな」と思いましたし、出会う虫たちがことごとく見たことのない大きなサイズだったのも、驚きましたけど。
奥さま
それ、私も思いました。私の生家は海の近くで結構な田舎だったのですけど、真逆の山奥の田舎に来たなと。驚くこともありましたけど、すっごく静かでこっちの環境の方が好です。ただ、初夏のカエルの大合唱だけは驚きを超えて衝撃的でしたね。でもあるとき、学者さんがわざわざカエルの声を録りにくるくらい貴重な場所だということを知って、ここにしかない特別な音楽なんだと思うようになりました(笑)。
西久保
こんなに自然に囲まれていて、景色も風も心地良いし、沢も近くにあって空気も何だか清らかだし、本当に良いところですよね。石牧建築の木の家にぴったりの場所だと思いました。

石牧建築は天竜杉など地元産の木を使っているのですよね。

西久保
そこが私たちの強みです。
ご主人
僕が家を建てたいと思ったきっかけを作ってくれたのは、石牧建築さんのこだわりが見える木の家との出会い。木をふんだんに使ってもらいたくて、作り付けの家具も家と同じ木を使って作ってもらえるよう、オーダーしました。
西久保
床をはじめとした家の素材や、テーブルなどの家具類は天竜杉。キッチンのカウンターは天竜産の山桜です。家具は「わざわ座」という家具デザイナー・小泉誠さんと大工さんのコラボ作品です。
ご主人
大工仕事とデザイナーというおしゃれ感と、すぐ隣の天竜で育った地元の木を使っているというこだわりも、非常に惹かれました。それから、西久保さんが設計士にもかかわらず、現場によく足を運んでくれることとか、墨付けを自らしてくれたことなどは特に感動しました。僕たちの家をつくるために、今までやったことがない大工仕事にチャレンジしてくれた。そのことがすごくうれしかったです。
西久保
そう感じていただけていたなら、私もとてもうれしいです。墨付けは本来、熟練した大工の技が必要な作業。大工のプライドのかかった仕事と言っても過言でありません。そんな大役を任せていただくことになり、鈴木様からの信頼の厚さに感動しつつも、これまでにないプレッシャーも感じました。しかし、お任せいただいたからにはやり切ろうと思いました。さすがに手刻みはできませんけど、石牧建築の仲間から身をもって大工仕事を学んでこいと背中を押され、大工さんに弟子入り状態で教えてもらうことになりました。春野の加工所に通って墨付けをした日々は、とても大変でしたが充実していて、とても良い経験ができました。そんな機会をくださったお二人に感謝しています。

この家のお気に入りポイントはどこですか?

ご主人
すべてです(笑)。さっきも言いましたけど、生活していて無駄な場所がないこと、そして奥さんが笑顔でいてくれること。全部が気に入っています。
奥さま
私はキッチン。特に壁面の一部に使ってあるグレーがかかった微妙な色合いのベージュのタイルがすごくいいなって。あとは、リビングに立って桜の木方向を向いて見上げたときの、障子と梁の感じがとても好きです。木のぬくもりが感じられるむき出しの梁はもちろんですが、上の窓に障子というチョイスがおしゃれだなって。
ご主人
そういうピンポイントなら、あります。漆塗りのトイレの床。床でも家具でもどこでもいいから、どこかに漆を塗ってかっこよくしてほしいとリクエストしたんです。それで、その場所は家ができるまでのサプライズにしてくださいとも。
西久保
トイレの床や、洗面カウンター、キッチンの側板など。あと、テーブルの裏の梁(たわみの止め)にも施しました。
ご主人
家ができたとき、宝探しみたいですごく楽しかったです。
奥さま
玄関も私は好き。木の外観なのに玄関だけコンクリートでモダン。ちょっと隠れ家みたいな雰囲気がかわいい。
西久保
ちょっと離れのような立ち位置にあるので、大きな玄関ではなく母屋の勝手口というイメージで、小さめに、そしてアクセントとしてモルタルの玄関にしました。私もここ、お気に入りの一つです。
ご主人
外観と言えば、このボコボコした押縁のデザインもおしゃれ。こういうの見たことがなくて、他にないなと。自慢の一つです。あと、表札の字は、西久保さんが書いてプレゼントしてくれたんですよね。最後の仕上げ、みたいな感じでうれしかったです。ありがとうございました。

最後にこれから家を建てたいと思っている皆さんにアドバイスを。

ご主人
一生物なのでこだわった家にした方が良いと思います。僕らも妥協して後悔したくないと思いました。石牧建築さんというすばらしい出会いがあって、お任せ状態で建てた家ですが、妥協したところはありません。この出会いが妥協するところがないという状況を生んでくれたと思うので、すごく恵まれているんじゃないかと思いますが、家を建てる会社を選ぶところで妥協しないことが一番かなと思います。
奥さま
良いなと思った家をつくっている会社と、建てる人との出会いは特に大切だなと思います。西久保さんに家づくりをお任せして、本当に感謝しています。暮らしていて、本当に困ることとか、こうすれば良かったと思うところがないんです。だから家を建てるときも、人との出会いは大切にしてほしいかなと思います。

価値観を変える木の家

2022/11/02

価値観を変える木の家

石牧建築と出会い 木の魅力に惹かれていく

まだ所々に田畑が残る住宅街の一角。見事な大屋根の木の家が、今回訪問するK邸です。大規模既存集落制度を利用して、昨年の7月に新居が完成。独特の削り跡が印象的な日本古来の伝統技術、なぐり加工を施した玄関扉を開け中に入ると、勾配天井に吹き抜けが広がる開放的なLDKが出迎えてくれます。木がふんだんに使われた空間は、まるで森の中にいるような居心地のよさを感じます。

まず目をひくのが、8寸(24cm)もある黒色の大黒柱と、赤色に塗られた8角形の柱。生漆(きうるし)に黒と赤の顔料を混ぜ、塗りと拭き取りを何度も繰り返して仕上げたそう。さも、木の家にこだわったように見えるK邸ですが、「無垢材って言葉を知ったのも、工務店探しをしているときなんですよ」と笑いながら答えるKさん。

実家と同じように大手ハウスメーカーで家づくりを始めるもうまくいかず、幾つもの工務店を研究。「雑誌などで徹底的に調べたから、家を見ただけでどの工務店か分かるようになったんですよ」と、いたずらっぽくツッコミを入れる奥さま。先日紹介した「遠州匠の家」のKさんが会社の後輩ということもあり、石牧建築にたどり着きました。

「石牧建築代表の石牧真志さんと最初にお会いしたとき、家のことはほとんど話さなくて、山のこと、天竜杉のこと、手刻みにこだわっていることなど、木についての話が2時間ほど続いて(笑)。印象的だったのが、一般的な工務店は、白くてきれいな優等生の木だけを使うけれど、石牧建築は劣等生の木も使うという話でした」

「石牧建築では、他社では使いにくいといわれる山の下に生えている黒い木も扱います。手刻みにこだわり、木目の見え方、節の量、木のクセなどを一本一本確認しているからこそ、商業的な面で見ると劣等生といわれる木があっても、適材適所で使い分けるとことができるんです」と、K邸を担当した佐原広祐さんが説明してくれました。


それから木のことをいろいろと調べ始めたKさん。調湿、消臭、抗菌、防ダニ、肌触り、経年変化など、新建材にはない木の魅力にどんどんひかれていきます。「この2つの木を持ってみてください」と、取り出した木片を取材班に手渡します。「あ、重さが全然ちがいますね。この黒い方がずしんと重さがあるというか」と取材班。「この黒い木は桜で、軽いのが杉。樹種によってこれだけちがいがあるんですよ。香りもちがうので、かいでみてください」と楽しそうに説明してくれます。

「LDKの床を見て何か気付きませんか」と、次はクイズが始まりました。何度か往復して、「あ、節の数がちがう!」。何も言わず笑顔になるKさん。床はヒノキの無垢材を使用。キッチン側は節が多いけれど、お客さんも過ごすリビング側の床はほぼ無節。「仕上がりを考え、一枚一枚、節の量を確認して貼ってくれているんです。そういうのって、うれしくないですか」とKさん。

「なんだか、石牧建築さんの営業マンみたいでしょ」と笑う奥さま。「植林の下草刈りにも参加したいって言うくらい、この家を建ててから木が好きになったんですよ」。玄関横の壁には、無理を言ってもらったという石牧建築のポロシャツが飾られていました。


ものを選ぶ基準が 毎日の暮らしを彩る

ここ数年は家を建てることが目標だったKさん。新居が完成し、今はこれといった趣味がないそうで、休日はホームセンターに行ったり、子どもと一緒に遊んだりすることが多いと言います。長男のタクトくんが生まれ、奥さまが育児で大変ということもあり、娘さんとふたりで遊ぶ機会が増えました。ウッドデッキがあるので、ピクニック感覚でお弁当やおやつを食べたり、庭で泥遊びをしたり。どれも以前のアパート暮らしではできなかったことばかりです。

庭の一角には、最近始めたという家庭菜園が作られ、ナスやトマト、ハーブ、ミカンなどが植えられています。すると長女のリオちゃんがやってきて、「こっち、こっち」と、玄関へ案内してくれます。玄関横にはブルーベリーが植えられ、小さな実を見つけることができます。「子どもも水やりを楽しんでいるので、大きく育つのが楽しみですね」。趣味はないと言うKさんですが、家ができ、お子さんと一緒に暮らしを楽しむその時間が、何よりの趣味なのかもしれないなと感じました。

石牧建築に造作してもらった食器棚や本棚、遠州面紬をあしらった建具、地元作家による洗面鉢など、家の中にはストーリーのあるものを見つけることができます。「木の空間が映えるように、既製品はあまり買わなくなりましたね。価値観が変わったというと大げさですが、ものを選ぶことに意識的になった気がします。先日も作家さんが作ったコーヒーカップを買ったのですが、以前だったらきっと買ってなかったと思いますよ(笑)」

木の家だとキズが心配じゃないですか、とたずねると、「最初は気にしていましたが、一度キズを付けると、もう気にならなくなって」と笑うおふたり。キズは味わいになるし、年月がたって色が変わっていくのも、木ならではの魅力だと思えるようになったと言います。「石牧さんは、手垢や脂、子どもが裸足で走り回って木が黒くなっていくのがいいんだよねと言うんですが、さすがにそれは理解できなくて(笑)。まだ修行が足りないんですかね」と笑うKさん。



「木の家ってもっと和風なイメージがあったから、ここまで快適で、おしゃれな家になるとは思ってもみなかったです。ママ友からもすてきだねとほめられてうれしいです」と家づくりを振り返る奥さま。「僕たち素人は、家を建てるとなったらとりあえずハウスメーカーの展示場へ行く。木の家に関する知識も、出会いの場も少ないんです。工務店やメディアは、木の家の魅力をもっと伝えた方がいいですよ」とKさんが続きます。つられて「すみません」と謝る佐原さんのひと言に、みんなが笑いに包まれます。手に入れたのは木の家だけでなく、ずっと良好な関係を築ける工務店だったのだと感じた瞬間でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

 

家族の思い出を刻む家

2022/11/02

家族の思い出を刻む家

3年が過ぎ、ひとまわり成長した家族と家

浜北区にある新興住宅地。さまざまなカタチの家が建ち並ぶ中、木の塀と大きく育った木々に包まれた家が見えてきました。


エントランスを抜け、玄関を開けると、「こんにちは」と、子どもたちが元気よく出迎えてくれます。天竜の杉やヒノキをふんだんに使った床や天井、丁寧に仕上げられた漆喰の白い壁が、やさしく落ち着いた空間を作り出していて、温和なKさん夫妻にぴったりだなと感じました。

東京都出身のご主人と、新潟県出身の奥さま。お互いの故郷から遠く離れたこの浜松に家を建てたのは3年前のこと。新築当時はほっそりとした木々も太さを増し、大きく枝葉を伸ばしています。
昨年の冬には3人目のお子さんが誕生。新築の打ち合わせの頃、トーマスが好きだったユウスケくんは、今では「スター・ウォーズ」に夢中。泣き虫だったサキちゃんは、赤ちゃんのお世話をかってでるお姉ちゃんに成長。子どもの成長が3年という歳月の長さを教えてくれます。


「3年暮らしてみて、失敗したなぁと思うことはありませんね。今、石牧建築さんに収納棚をオーダーしています。家族が増えたということもありますが、まずは住んでみて、必要だなというタイミングで作りたかったんです」とKさん。
リビング階段を中心に回遊できる間取りのK邸。小学校や幼稚園から帰ってきた子どもたちは、玄関から洗面所へ向かい、手を洗ったあと、そのままLDKへ。
「だから、洗面所のそばにランドセルや荷物などを置ける棚があると便利だなと思い、オーダーすることを決めました」。

LDKには石牧建築が造作した、遠州織物をあしらったテレビボードやカウンターテーブルがあります。
「とっても便利なんですけど、あとから収納ボックスを使おうと思ったら、空いている壁がなくて、置くことができなかったんです(笑)。最初から作り込みすぎないのも大事ですね」と笑う奥さま。


天竜杉を使った床は暖かで足触りもよく、子どもたちは一年中はだしで遊んでいるそう。冬でもひんやりしないから、奥さまもスリッパをはかなくなりました。特に木の家が心地よいと感じるのは、梅雨時だと言います。
「以前、住んでいたアパートは湿気がひどくて。この家は床も天井も木だし、柱が見える真壁造り。仕上げに使った漆喰のおかげもあって、じめじめせず、いつもさらさらしています」とKさん。
同席していた石牧建築代表の石牧真志さんが、「断熱材に使ったセルロースファイバーも調湿効果があるので、それも影響していると思いますよ」と補足してくれました。

勾配天井でこもり感のある寝室は快適で、寝苦しさを感じたことはないと話します。
「子どもを寝かしつけると一緒に寝ちゃうことも少なくないですよ」。
新規開発プロジェクトのリーダーを任せられ、やりがいとプレッシャーの間で忙しい毎日を送るKさん。土日も仕事をすることが増え、生まれたばかりのサユちゃんの笑顔、子どもたちと遊ぶ時間がなによりの癒やしの時間です。



手をかける暮らしが愛おしい時間を育てる

「この家に住み始めて暮らしが変わったとか、趣味が増えたとか、そういうことはありませんね」と、こちらの期待を裏切るおふたり。「でも、ダイニングテーブルは年に1回、必ずメンテナンスしていますよ」。

林業を営まれている奥さまのご実家。床の間で使われていたケヤキの板を譲り受け、石牧建築が6人掛けのダイニングテーブルに仕上げました。メンテナンスをするのは年末か春先。表面の汚れをサンドペーパーを使って丁寧に削り、自然塗料のオイルを塗り込みます。オイルは1度乾燥させたあと、もう1度塗り込む。子どもには手伝わせない、Kさんの仕事です。
「塗りむらや家を汚されるのがイヤというのもありますが、もくもくと集中して作業するのが楽しいんですよね。じゃまされたくないというか(笑)」。 


ふと目をやると、和室の漆喰の壁に落書きがあるのに気が付きました。
「最初に緑のペンで落書きして、これはマズイと思ったらしく、消そうとしてオレンジのペンで上からぐしゃぐしゃと(苦笑)」。
住み始めて半年くらいのことだったから、ふたりのショックは相当なものだったはず。でも、この事件をきっかけに家のキズには寛容になり、今はいい思い出だと笑います。漆喰はいつでも塗り直すことができますが、これがクロスだったら……。部分的な修復は不格好なので全面張り替え、そもそもクロスが廃番になっていて直すことができないというケースもあるそうです。

開け放った窓から心地よい風が室内を駆け抜けます。大きくなった木が縁側に影を落とし、葉が風に揺られさらさらと音を立てています。
「木の剪定も彼がするんですよ」と奥さま。「高い場所の枝はしなってノコギリと一緒に動いちゃうから切るのが大変なんですよ。愛着のない家だったら気が進まない仕事ですが、今は一つひとつの家仕事がとても楽しいですね」と笑うKさん。
この夏には庭の一部を花壇や家庭菜園にする予定だと教えてくれました。


浜松で生活をしてもう10年になるKさん。この家に住み始めて、やっと自分の場所だと思えるようになったと言います。木が少しずつ根を張っていくように、自分の家で暮らす日々が、浜松を自分の場所に変えていったのかもしれません。

休日は、赤ちゃんがいるのであまり遠出はせず、近くのパン屋さんで焼きたてのパンを買って、公園やピクニックに出かけることが増えたそう。
家にいても子どもたちは部屋中をぐるぐる走り回ったり、なわとびの練習をしたり、キャッチボールをしたりと自由奔放。リビングはすっかり子どもたちの遊び場になりましたが、いつかは大人の安らぎの場所にしたいとふたりは思っています。

「ちょっといいソファを買って、ギャッベを敷いて。そばには照明スタンドがあって。ふたりでのんびりお酒を飲んだり、ゆっくり映画を観たりしたいですね。でも、いつのことになるやら(笑)」。
言葉ではそんなことを言いながら、子どもたちが遊んでいる様子を愛おしく見つめるふたりがいました。
床にはミニカーを落としたあとがあり、ダイニングの杉の柱には、誕生日毎に測った子どもたちの身長が記されています。
「4歳のときのユウスケよりも、今のサキの方が背が高いね」と笑うふたり。家のあちこちに家族のかけがえのない物語が刻まれているK邸。


 

「家は、暮らしとともにある」。そんな言葉がよく似合うご家族でした。

(撮影・文/キーウエストクリエイティブ)

 

大きな木が見守る家

2022/11/02

大きな木が見守る家

天竜二俣駅から車で5分ほど。二俣川にほど近い山の麓に前田さんの家はあります。杉林を背景にブラウンの落ち着いた外観が映えます。にょきっとのびた薪ストーブの煙突、家のコーナーを横貼りにした杉板であしらった多角形コーナーが印象的。


前田さんがこの場所に家を建てたのは昨年の5月。「ローンを申請したら、うっかり通ってしまって」と笑います。
きこりの仕事だけでなく、天竜の森の魅力を伝えるイベントを企画したり、学校などで出張講座をしたり、多岐にわたり活躍。観音山の東麓にある活動拠点「Kicoroの森」にはリノベーション中の古民家もありますが、子どもの通学のことを考えると不便ということもあって泣く泣くあきらめることに。


「天竜の森の魅力を伝える仕事をしているから、さすがに外材を使う訳にはいかないし(笑)天竜材を使うことにこだわったほか、間取りなどは妻にお任せしました。もっと時間があれば自分が伐採した木を使って家を建てたかったんですが、残念ですね。もしかしたら、昔に切った木が混ざっているかもと期待はしていますが」そんな前田さんが家づくりのパートナーに選んだのは、春野町に自社工房を持ち、大工職人でもある「石牧建築」の石牧真志さん。設計は石牧さんと親交の深い「しましま設計室」の西久保美和さんが担当しました。

奥様の要望は和室があることと、小さくてもいいので家族それぞれのスペースが欲しいというもの。何度かの打合せを重ねて西久保さんが提案したのは、リビングダイニングスペースに畳を敷いた「茶の間」のある家でした。前の家から使っている大きな座卓を家族5人が囲みます。ご飯を食べてお腹いっぱいになったら、そのままごろんと横になったり、座卓をどかせば遊びに来た友人が泊まる客室になったり、いろんな使い方ができるのが魅力。い草の香りにも癒されます。


畳みの向こうには板の間があり、この家を特徴付ける多角形のコーナー縁側へと続きます。2つの空間をゆるやかに区切るように八角形のヒノキの大黒柱がそびえます。そこから放射状に柱が伸びる姿は、まるで枝を広げた大きな木のよう。取材中もお子さんが柱に手を添えてぐるぐると駆け回っていました。「この木が家族を守り、木の下で楽しく過ごす暮らしをイメージしました。もっとカントリーっぽくなるかなと心配したんですが、『割角』という材を使うことで節や割れもなく、美しい仕上がりになりました」と西久保さん。

「割角」とは、木の芯(年輪の中心)がない材角で、化粧材に使われるほど美しいのが特徴。反対に芯がある木材は「芯持ち材」と呼ばれ、梁や構造などに使われます。そりが少なく丈夫な反面、節や割れが目立ちます。一般的な天竜材は、戦後の拡大造林に植えられた樹齢70年前後のものを使うことが多いそう。しかし前田邸はその倍の樹齢150年、幹も太いので割角でも構造材として使うことができました。また、石牧さんが大工としての高い技術を持っていたのも仕上がりに関係があります。プレカットのように何も考えず材木を加工していくのではなく、一つひとつ材木を吟味してきざみすることで、使う場所に適した材を見極めることができます。実際に割角の梁を見てみると、表と裏で節の数がちがいます。見える面にまで気を使えるのが手刻み加工の魅力のひとつです。


ゆったりとした縁側には、前田さんたっての希望で薪ストーブを設置。火のある暮らしに欠かせない薪ストーブですが、薪の入手が難しいのが難点。「でも、仕事場の山に沢山落ちていますから」と前田さん。そのため、ナラやクヌギといった広葉樹を使うことが一般的ですが、前田邸では杉やヒノキの針葉樹を使用。近所には山もあるからお子さんと一緒に散歩がてら、必要の落ち葉を拾いに行くこともあるとか。「薪ストーブがあると、森の中で捨てられる木も、燃料という資源になるんですよ」と話すのが印象的でした。杉やヒノキを使っていることもあって、ストーブの扉を開けると煙がこぼれます。使い始めて3カ月ほどですが、ストーブの上の柱がいぶされて、ほんのり色づいているようにも見えます。日々の暮らしが刻まれていく様子に「木の家と薪ストーブは相性がいいと思いますよ」と話してくれたことがわかるような気がします。



自然の恵みに感謝して 自らつくる楽しさを知る

前田さんは千葉県出身。奥さまも神奈川県の出身とのことで、ふたりとも天竜には縁もゆかりもありません。大学卒行後、前田さんは尾瀬の山小屋で住み込みの仕事を始めます。その後、海外を放浪する中で、砂漠などとはちがい、どこでも草木が生える日本の自然のやさしさに気付きます。その後、バイクで日本を巡り、住みかとなる場所を探す旅に出かけます。

浜松にたどり着いたのは、以前林業の研修で滞在したことがあったことと、街と自然との距離が程よかったから。「和歌山の山にも行ったんですが、20代半ばの青年には素朴すぎました。なんか隠居生活見たいで(笑)」さらに、人生の目標とするおじいさんとの出会いも大きかったと言います。「山のお年寄りって本当に元気で、都会の人とは全然ちがう。僕の知っている方も山の斜面をすいすい上っていく。若い頃は『水窪のカモシカ』と呼ばれていたそうです(笑)畑仕事や山のことなど、暮らしの知恵や技術を持っているので、若い人たちから尊敬されています。自分もそんなおじいさんになりたいという憧れがありました」そんなことで天竜に漂着して、もう14年。きこりの仕事のかたわら、天竜の森の魅力を伝える活動を通じ仲間も増え、今ではすっかり天竜の人になりました。「天竜に根をはって、やっと芽が出てきた感じです」と前田さんが笑います。天竜材がふんだんに使われている前田邸。さらに、庭に植えられたクロモジといった植栽や石は山から持ってきたものだったり、庭の土留め板に天竜の材が使われていたり、山の恵みをそこかしこに見つけることができます。さらに、庭の片隅に奥さまお手製の竹の物干し台も。「僕の趣味は、暮らしだから」と笑う前田さん。

お金を払えばたいていのものを買える時代になりました。もちろん、お金で時間を買うという理屈も分かります。前田さんがきこりであることも理由かもしれませんが、捨てられる丸太を切って薪にしたり山の木や石で庭をつくったり、もらった鹿の肉を燻製にしたり、自然の恵みを資源として捉え、ものをつくることは、大げさですが、人生の大いなる楽しみなのではないかと思わずにはいられません。

前田さんが家を建てようと思ったきっかけは、子どもが生まれ、自分に何かあったときに、家くらい残しておきたかったからだといいます。それは、単なる箱としての家ではなく、そこのでの暮らし、生きるためのスキル、豊かな自然への感謝などを含めて「家」と言っているんだと、お話を聞いて気付きました。家は人生であり、学びの場でもあるのかもしれません。前田さんの新しい暮らしは、まだ始まったばかりです。

(撮影/内山文彦氏・文/キーウエストクリエイティブ)

イエタテ冬号

2020/12/03

イエタテ冬号

『フリーマガジン・イエタテ 冬号』に掲載されました。

WEBイエタテ特集「わたしの住まい・みんなの暮らし」(P.76)に
第3回ふじのくに木使い建築施設表彰にて最優秀賞に選ばれた「tayutau-HUT」が紹介されています。

是非お手に取ってご覧ください。

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